2-7 ページ19
「でも、あの言葉に変わりはない。俺は、変わってしまっただろうか？」
周囲に誰もいないような錯覚に陥りかけ顔を赤くしたAは焦凍の手を取り、強く引っ張るとそのまま駆け出した。
「ふは…どうした、A？」
「いや、あそこだと、視線が…」
「あ、そうか、ごめん」
走ってきたのは校門前で、お昼の時間でかつ、雲行きも怪しい為、誰もいなかった。焦凍は周囲を見渡してからAに向き合った。
「俺は、変わってしまっただろうか？」
「…変わってないよ。あのときのまま。」
「本当か？」
焦凍は、その言葉に嬉しそうに笑った。あまりにも綺麗に笑った為Aは何も言えずに開いた口を閉じた。
「…俺は親父が、嫌いなんだ。どうしても」
「お父さんが？」
「お母さんをあんな風にしたやつは、許せない」
足元にぱらぱらと落ちる雫は彼の心を表している様で彼とは逆にAは空を見た。
ぽつぽつと地面に広がる雫のように当時の事を話始めた。
父親に似てきた自分がお母さんの影を深くしてしまい自分を傷つけることでお母さんに深く傷つけてしまったと。
いろんな噂は聞いていた。末っ子だけど、兄や姉よりも父から辛い修行をつけられていると。そのせいでクラスから浮いていたと。
「お見舞いは？」
「行ってない。俺が行くとお母さんに思い出させてしまう」
「…今じゃなくて良いから会いに行こう」
かばっと焦凍は顔を上げたが気まずそうに視線を反らした。
Aはじっと彼を見つめた。
「…そう、だな。いつか」
「大丈夫だよ。焦凍」
「…大丈夫、だと、いいな」
それから、他愛のない話をして教室に戻った。少し顔が暗かったのか出久に心配されたが特に気にすることでもなかったので、なにも話さずにその日は、雄英の体育祭について話して、授業を受けて終わった。
「A！帰るぞ！」
「拒架？どこにいくの？」
「病院、会わせたい人がいる」
なんて、タイムリーな場所だと思いながらもAは頷いてついていった。その場所は、見覚えがありAが誘拐された後、入院していた病院だった。
「検診？」
「違うよ。母さんの姉さんのお見舞いだ。」
「え、お姉さん？いたの？」
Aの言葉にすこし悲しそうな顔をすると手を引いて中に入っていき場所は５階の個室だった。切らすことなく花は飾られているようで花瓶には小さな白い花が飾られていた。
「おばさん、A連れて来ちゃったよ、ごめん」
続→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
