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「うーん、わからないなぁ」
Aは家に着くとすぐに今の事件についての記憶をできるだけ書き出した。
買い物に出掛けた日に誘拐され、男の子しょうとくんと出会って脱出…できた思ったけど幻覚のようなものを見て連れ戻された。
その後敵と対峙した時、しょうとくんと焔の中に隠れて気を失った。
「あー、たぶん、しょうとくんって轟くんだよね」
「A？」
「う、わっ！拒架？」
お茶を持った拒架が不思議そうにAを見ていた。拒加に何もないと言うとそれでも拒架は不思議そうにAを見た。
「なにもないよ。ただ、しょうとくんって轟焦凍くんかなって」
「…病院の？」
「うん」
拒架は苦虫を潰したような顔をした。そんな拒架を今度はAが不思議そうに見つめた。なにか答えづらい質問だったのだろうかと。
「多分、そうだと思う…けど」
「けど？」
「顔の火傷はなかったと思う」
拒架は、見つめてくるAから視線を外した。拒架は、何がいいたかったのだろうか。
Aには、よくわからなかったが、身内を外して今、一番仲の良い人と言ったら間違いなく轟焦凍が出てくると思うことだけは確かだった。
「焦凍くん」
「A？？」
「いや、なにも…」
いつも通りのいつもの昼食を食堂で食べたAと焦凍は中庭に来ていた。最近食堂で拒架を待っていても来れないことが多く、だったらと、外の空気を吸ってリフレッシュしていた。
「焦凍くんって、焦凍くん？」
「なにを…？」
「いや、なんでもない。忘れて」
何アホなことを言ってんだと視線をAに向けた焦凍は、少し考えた後Aの肩をぽんぽんと叩いて振り向かせた。
「…僕、責任とるよ。大きくなったら迎えに来るから」
「え？」
「Aちゃん、だから、待ってて」
Aが昔しょうとくんに病院で言われた言葉と同じものを目の前の焦凍は恥ずかしそうな素振りひとつすることなくAの顔を見て堂々と言い切った。
ポカンとしたAだったが言葉を理解し記憶と繋がるとみるみるうちに顔が赤くなり、いつもは隠している耳や尻尾が出てきていた。
「まさか、雄英で逢えるなんて思ってなかった」
「わ、わたしも。」
「でも、あの言葉に変わりはない。俺は、変わってしまっただろうか？」
先ほどまで堂々としていた、彼から変わり今度は不安げにAを見た。しかし、ここは人通りのある中庭で冷やかすように笑うギャラリーが増えていた。
続→
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
