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「注意しなさい」
「先生…」
そう、校長先生は言うとじっとAを見た。
「はい」
「私の記憶を消したのは誰ですか？」
「…誰も消してませんよ」
険しそうなAの顔を見た校長先生は入れ直した紅茶を机に置いた。
「敵は、記憶を消したって」
「狐葉さん、敵の言うことは真に受けてはいけません」
「…でも、私にはない記憶があります」
それでも、校長先生が話すことはなくAはそのまま教室へと戻った。教室には出久以外の生徒がおり、ホームルームが終わった後なのか、自主練習の為に実習室へと向かう生徒もいた。
「あ、Aちゃん」
「梅雨ちゃん…」
「本当にありがとう。Aちゃんのお陰で助かったわ」
梅雨がAの手をとって泣きそうになりながらお礼を言った。その言葉に笑うと荷物をまとめて教室から出た。
「ぃ…おい！狐女！」
「…爆豪くん」
「テメェ、何て顔してんだよ」
てくてくというより、ずんずんと進んでいたAの目の前に爆豪が出てきた。彼に話しかけられるとは思ってなかったAは驚いて足を止め振り返った。
「何て顔してる？」
「はぁ？自分で見ろよ。クソデクと蛙女助けたんだろ。」
「…中途半端だよ。いつも」
自分の方が傷ついたとでもいうように笑った。それが勘に触ったのか眉間の皺を深くし爆豪はAの胸ぐらを掴んだ。
「礼を言われたんだろ！テメェは助けれたんだよ！」
「たすけ」
「他のとこは妙に大人ぶってる癖に。」
ぐっと拳を握った右手を爆豪は下ろすと深いため息をついた。そして、再度Aを睨んだ。
「個性は良いモンある癖に。ガキだな」
「…ガキで悪かったな」
「ガキで良いから走れよ。半分ヤローと約束してんだろ」
病院での約束の記憶が少しだけ戻ったことを言ってないのにAはなんでわかったのかと爆豪を、見た。それを察した爆豪はハッと鼻で笑った。
「分かりやすすぎんぞ、」
「え、」
「約束、大方お出迎えってとこか？」
それすらも当てられたAは笑った。何故かおかしくて笑ったAと爆豪は奇妙な光景だった。はたから見れば胸ぐらを捕まれた方が笑っている。
「ははっ、そうだね。ありがとう。爆豪」
「何言ってんだ。気持ちワリィ」
「はいはい」
校長室で話したときよりもスッキリしたAは、今までの記憶を書き出して整理しようと帰路についた。
続→
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
