とある神様の話 ページ22
人間に対して何か感情を持つことなんてないと思っていた。
神としてこの世に存在するようになって、適当に神社に住み着いたら人間にあがめられるようになっていた。長い生の中で暇でもつぶそうかと気まぐれに神社に来た人間の願い事をかなえ続けて。それすら飽きてしまって、そろそろこの神社から離れようかと思っていた時にとある夫婦が神社を訪れた。
『ずっと、一緒に、幸せに暮らせますように』
よりそいながら同じ願い事を願うその夫婦が俺にあるはずのない『感情』を目覚めさせた。
羨ましい
羨ましい
羨ましい
───寂しい。
永かった孤独を自覚して神としての在り方が歪んだのか、はたまた元々そうした在り方だったのか。分からないが、どうやら俺はあの瞬間から隣に立つ、伴侶の存在を渇望するようになったようだった。
簡単に手に入ると思っていたのに、直前になって全部がおじゃんになってしまって、ひどく落ち込んだのを今でも覚えてる。その後も、ずっと条件に合う子を待ち続けて、待ち続けて、待ち続けて。
──見つけた。
今までの子は早い段階で条件から外れてしまったけど、たぶんこの子は大丈夫。だけど、念には念を入れて、少しずつ少しずつ逃げられないように、絶対に逃がさないように囲い始めた。
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渦巻 - コメント失礼します。とても良い作品でした。この作品をつくって下さってありがとうございます！私とても幸せ者ですね…！ (2020年9月10日 22時) (
レス) id: acd4260d4c (このIDを非表示/違反報告)
鰻(プロフ) - 枯渇さん» 感想ありがとうございます。そう言っていただけると、書いてよかったなぁ、と思えます。 (2020年8月18日 15時) (レス) id: b0dd64a6e1 (このIDを非表示/違反報告)
枯渇(プロフ) - 突然失礼します。個人的にとても良かったです。尊さにより倒れさせていただきました。ありがとうございました。 (2020年8月17日 19時) (レス) id: cb6a865d2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鰻 | 作成日時：2020年8月13日 7時
