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16時の書庫〈過去〉5 ページ11

16時の書庫〈過去〉


家に帰ると酒瓶の山。
茶の間にはテレビの音と父親の笑い声。

(今日は機嫌良さそう)

もともと気性の荒い性格の父親は仕事では厳しい面を持ちながらも面倒見の良さから親方なんて後輩に慕われて人だった。
たまに後輩を連れて来て母親と一緒にご飯の準備とかでバタバタすることもあったが、後輩が父親を誉めている姿を見て悪い気はしなかったのを覚えている。

いつだったか、なんの理由だったか忘れたけど父親が壊れだした。顕著に現れたのは母親が亡くなってからだった。
お酒が日常的で、機嫌が悪いと当たり散らされる。

「今のうちに宿題しよう」

自室に向かうと机に宿題を広げていく。
夕食はだいたい隣の人がお裾分けをくれたりする。
味噌汁作って、ご飯を炊いたらちょっと貧相だけど充分なご飯。
"今日はなんのご飯かな"なんて楽しみにしながら宿題に手をつけた。

「俺はA好きだよ」

ふと思い出す普の言葉に手が止まる。

「普と付き合うのかな...」

ぼそっと呟いた一言に熱があがるのがわかる。宿題に集中しようとする思うほど集中できない。

「誰と誰が付き合うって?」

背後に父親がいるとは思わなかった。急に聞こえた声に反応して振り替えると何かが振り下ろされていた。

目が覚めると頭に雑に巻かれたガーゼと包帯。所々に出来ている痣。
目の前には何事にもなかったようにタバコを吸う父親。そしてその隣にあるのは血がついた酒瓶。

(私、酒瓶で殴られたんだ)

「さっさと宿題してこい」

父親の投げられた言葉を理解するのに時間がかかった。ぼーっとしている私を見かねたのかタバコを持った手が近づく。"ヤバい"と思ったときには腕にタバコが押し付けられており声にならない悲鳴が出た。

(殺される...)

頭が動くと痣だらけで痛いにも関わらず体は勢いよく立ち上がり部屋へと駆け込んだ。

「今までこんなこと無かったのに...」

涙が頬を伝うのが解る。
なんでこんなことになってしまったのか、さっきまで幸せだったはずなのに...
普の笑顔が思い出される。泣き声が外に聞こえないよう布団にこもった。

○月△日 普に告白される。
この日から父親からの暴力が始まった。

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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります!体調気をつけて更新頑張ってください! (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:璃炎 | 作者ホームページ:http://nanos.jp/lampyridae/page/1/  
作成日時:2020年2月9日 11時

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