三人の時計守4 ページ33
三人の時計守
「呼んだ?」
すっと実験用具室に入ると呼び掛けた人に声をかける。
大抵の人は半信半疑のことが多いから声をあげるのが大半なのに目の前の二人はとても落ち着いていた。
緑の髪の女子生徒と茶髪の男子生徒。
「貴女が毒姫?」
女の子がゆっくり話す。
「そうよ。呼んだでしょ?」
怪異に抵抗がないのか落ち着いてる様が異質に感じる。生きている人間を前にしている筈なのに怪異同士で話をしているような雰囲気。
「本当はこんなこと気が進まないの
出来ればこんなことしたくない」
少し辛そうな表情をする彼女が言葉を並べる。
何のことを言っているのかわからないが、ただならぬ空気が流れる。
「なんのこと?」
精一杯出した言葉に答えるものはいない。目の前の二人は無言でじっとAを見つめている。
「ごめんなさいね」
やっと開いた唇からは謝罪の言葉。
理解の出来ない現状に自分の居場所であるはずなのに他人の領域みたいで気持ちが悪い。
「用がないなら帰るわよ」
苛立ちが含まれたからか少し声が大きくなる。
「ダメだよA。普のとこには戻れないよ」
この場にいないはずのモノの声が背後から聞こえる。ハッと後ろを振り替えれば大きな網を振り下ろすつかさ。
「つかさ!」
網から逃れられず、網に収まる自分の姿に虫や魚の気分はこんな感じなのかと嫌に冷静になってしまう自分に苦笑する。
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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります!体調気をつけて更新頑張ってください! (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃炎 | 作者ホームページ:http://nanos.jp/lampyridae/page/1/
作成日時:2020年2月9日 11時