鉄帽子の遣い様は"偽り"を愛す <番外編>

Cocktail word.3 ページ41

A「どうしました？白蘭様。」


白蘭「え？」


A「暗い表情、してますよ。
貴方は笑っていた方が素敵でしょうに。」



白蘭「！君は…本当に…。」



A「？」






僕を掻き乱すのが、得意だよね。



…ホント、いつも驚かされる。


無意識に褒めるてくのは、タチが悪い。






ザクロ「…あの白蘭様を照れされるたぁ…相変わらず、なんつー嬢ちゃんだよ。」


桔梗「白蘭様の婚約者になるくらいですからね。」



A「お二人とも。聞こえています。
あと、お酒は飲み過ぎてはいけませんよ。」



ザクロ「へーへー。」





気の抜けた返事をしながら、ザクロはまた酒を飲み続ける。



Aチャンは「まったく…。」と呆れながら、また僕を見た。






A「白蘭様。
私もお酒、少しだけいただきますね。」


白蘭「そう？
じゃあ僕もちょっとだけ飲んじゃおうかな。」


A「まだお仕事終わってませんよね。」


白蘭「いーのいーの♪」



A「ちょ…そんなに引っ張らないでください！」







急かすように、Aチャンの手を引く。




その先にあるのは…─







A「！わ……。」


白蘭「ふふん♪Aチャン好きそーだなぁと思って用意しちゃった。」


A「……バー、ですか。」





落ち着いた雰囲気の、淡いライトが照らすフロア。





A「……ふふ。」






思わず笑みを浮かべるAチャンの横顔はすごくキレイだ。


キラキラと、瞳が輝いている。






白蘭「さっそく何か頼も。」



A「んー…私は……バイオレットフィズでお願いします。」



白蘭「バイオレットフィズ…。」


A「好きなんです。
色も、私と相性がいい気がして…。」






バイオレットフィズは…その名の通り、紫色のカクテル。


Aチャンの瞳と、よく似た怪しい色。

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