雨恋い【リヴァイ】 (ページ13)

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食べ終わったならさっさと戻れ、とリヴァイに追い出されたハンジが居なくなったあと、食器のぶつかる音と咀嚼音しか聞こえない空間に少しの気まずさを感じながら、Aは一生懸命食べ物を口に詰め込んでいた。

「…具合は良くなったのか」
「！はいっ、らいじょうぶれすっ」

早く返事をしなくちゃと無理やり喋ったせいで間抜けな声が出たAは、恥ずかしそうに口をおさえて「ふみまへん…」とこれまた言葉になっていない声を出す。

「…ふ、」

一瞬息を吐いて口元を隠したリヴァイは、すぐに何でもないような顔をしてご飯を口に運ぶ。

「…、」

今までも、自分が気付いていなかっただけでこうして笑みを見せてくれていたのだろうか、と胸の奥がきゅっと苦しくなるのを感じながらAがこっそりとリヴァイを盗み見ていると、ばちりと合ってしまう視線に慌てて食事へと目を向ける。

「…、俺は、そんなに怖ぇのか」

ぼそりと呟くようにそう言うリヴァイに、少し遅れてその意味を理解したAはもの凄い勢いで首を横に振って、「全然！全然、怖くないです！」と前のめりになりながら否定する。

「…気を使わせたな」

心なしか落ち込んでいるようにも見えるリヴァイに「私は、優しい兵長が好きですよ！本当です！」とAが畳み掛けると、無言のままAを見たリヴァイが、すいっとすぐに視線を逸らしてしまう。

「…あ、えと、…すみません」

昨日の夜、Aの発言のあとから漂う微妙な雰囲気に輪をかけてしまったことに気付いたAは、本音ではあるものの余計なことばかり喋る自分の口に、顔がだんだん熱くなるのを感じる。

「で、でも、嘘じゃないです」

お世辞を言っているわけじゃないと分かってほしい一心で言ったAのその言葉が、怖くないの方か好きの方かどちらを指すのか判断がつかないリヴァイは、顔を赤くして俯くAに、自分でもよく分からない何かを刺激されるのを感じる。

「…、」

口を開けば取り返しのつかないことを言ってしまいそうで、ぐっと黙り込んだリヴァイは、恥ずかしそうに顔を俯かせながらひたすらに食事をとるAを盗み見て、自分の中で膨らみ続けるこの気持ちをどうしたものかと、いつもより熱い気がする息をそっと吐き出した。