雨恋い【リヴァイ】 (ページ12)

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「A〜？おーいA、朝ご飯の時間終わっちゃうよ！」

ドンドンとドアを叩く音で目が覚めたAは、「Aー！」と自分を呼ぶ同期の声に返事をして慌てて時計へと目を向ける。

「！！寝坊！！」

昨日なかなか寝付けなかったのが効いたのか、兵団に入ってから初めての寝坊に、光の速さで服を着替え髪をまとめ上げる。

「おはよう。早くしないと片付けられちゃうよ」
「おはようありがとう！助かった！」

僕はもう食べたから、とわざわざ自分を起こすためだけに来てくれた同期に再びお礼を言ってAが食堂に走り込むと、人もまばらになった食堂内、「あれー？リヴァイが寝坊なんて珍しいね」とハンジに絡まれているリヴァイが目に入る。

「あー！おはようA！…え、君も寝坊？ってことはまさか、君たち朝まで…！！」

あらぬことを想像しているのか、恍惚の表情で両手で頬を抑えたハンジに、リヴァイは「全てお前の勘違いだ」と容赦なくハンジの座る椅子を蹴り上げる。

「わぁっ！ひ、酷いな、何も蹴ること…」
「いいかハンジ。俺たちは付き合ってない。ましてや身体の関係なんて持ってねぇ。…全て、お前のクソ面白くねぇ妄想だ」

そのやりとりに巻き込まれまいと離れた席に座ったAに、リヴァイの話など聞いていないのか、「上官命令〜」と明るい笑みで手招きをしたハンジは、渋々といった様子で自分の隣に座るAに、「で、本当のところはどうなの？」と笑顔のまま詰め寄る。

「お前の耳は節穴か？」
「えー、だってだって、リヴァイが自分の部屋に女の子を入れてるのなんて初めて見たし？その相手がこんなかわい子ちゃんなら、手を出してない方がおかしいでしょう！」

どうあっても自分の認識を変えるつもりはないらしいハンジに、もはや相手にするのも馬鹿らしくなったのか、リヴァイは無言で食事を再開する。

「…ねぇねぇA、人類最強は、夜の方も最強だったりするのかな？」
「んぐっ、」

あまりにデリカシーの欠片もない質問に、Aが食べ物を喉に詰まらせるのとハンジがリヴァイに直接蹴り入れられるのはほぼ同時で、Aたち以外は誰もいなくなった食堂に、ハンジの叫び声だけが大きく響き渡った。