雨恋い【リヴァイ】 (ページ1)

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初めはただ、その細い身体のどこに、驚くほど華麗で身軽な動きを実現させる術が隠されているのだろうかと、単なる興味本意のはずだった。

「…こんな日まで、よくやりやがる」

そう呟くように言ったリヴァイの視線の先には、土砂降りの中走るAがいて、それは毎日欠かさず行われているリヴァイの知るAの日課のひとつであった。

「…おい」
「あ、兵長。お疲れ様です」

まるで今にも、今日は穏やかな晴天ですねとでも言いそうな爽やかな笑みを見せ頭を下げたAに、「こんな天気の中、走り回る馬鹿がどこにいる」と、リヴァイは本意ではないきつい言い方しかできない自分に、思わず眉に力が入るのを感じる。

「す、すみません。すぐに中に入ります…」

怯えたように肩をすくませて表情を暗くするAに、リヴァイはただAを思いやっての行動が、自分の不器用さのせいで台無しじゃねぇかと、思わず舌打ちをしそうになるのを寸でのところで思いとどまる。

「…ではあの、失礼致します…」
「待て」

雨に濡れてシャツは肌にはりつき、走っていたせいか、ほんのりと紅く色づく色白できめ細やかな頬。

その姿を少しでも色っぽいと、よこしまな考えを持ってしまったせいなのか。

「…紅茶を淹れてやる。風呂を上がったら、俺の部屋に来い」

思考よりも先にリヴァイの口をついて出たのは、自分でも笑ってしまうような、そんな浅はかな誘い文句だった。