36 ページ36
・
「A！」
「伊之助、どうしっ、」
次の日、相変わらずもう一回しろ！と煩い伊之助から逃げ回っていたAは、その伊之助に突然呼ばれて後ろを振り向こうとすると、背中にのしかかる重みと共に頬に触れる柔らかいものに、一瞬思考が停止する。
「…へ、」
「んー、ここじゃねぇなぁ」
そう言ってAの顎を掴んだ伊之助は、Aの顔を自分の方に向けて、場所を変えて何度もAの頬に口付ける。
「ちょっ、えっ？」
「んん？そもそもここじゃねぇのか？」
もう一度唇を寄せてくる伊之助から逃げようとAが顔を後ろに引くと、Aの後頭部を掴んだ伊之助が抵抗は許さないとでも言うようにAの顔を己の方へと引き寄せる。
「！」
Aが変に抵抗したせいで触れ合ってしまった唇と唇に、一瞬驚いたように離れた伊之助は、感触を確かめるようにまたすぐに唇を重ねる。
「んっ、」
啄むように何度も触れたあと、何を思ったのかAの下唇を噛んだ伊之助は、それで満足したのか「ここだ！」とようやくAを解放する。
「唇！唇を合わせたのか！どんな意味だ？今までしなかったよな？」
伊之助の疑問に顔を真っ赤にして黙りこむAは、「この感触、気に入ったぞ！」と笑う伊之助に、意味をどう説明すればいいのか迷ってしまう。
「…人前では、しないでね」
「何でだ？」
「何でも」
「なら、今する」
そう言いながら半ば無理やり重ねられた唇がむしろ嬉しくて、Aはあふれそうになる笑みを我慢しながら、温かい伊之助の感触にそっと喜びを噛みしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 309人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - 唄子さん» コメントありがとうございます！そしてお返事遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m嬉しいお言葉をありがとうございます！！ (2023年4月10日 3時) (
レス) id: 3890fde5bc (このIDを非表示/違反報告)
唄子 - 胸がキュンキュンです (2022年8月10日 21時) (レス) @page37 id: 585502c22b (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ナギサさん» コメントありがとうございます！伊之助の良さが表現できていたようで嬉しいです！ご期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いします(^^) (2020年12月9日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - 伊之助のこの男らしさと可愛さが混ざった表現を…ごちそうさまです。続き楽しみに待ってます (2020年12月9日 6時) (レス) id: 4d18708d8c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - しがれっとさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます〜！！お兄様いいですよね！歳の離れた妹を溺愛しつつ、厳しいところは厳しい、しっかりしたお兄様でございます（＾ω＾） (2020年12月7日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ
| 作成日時：2020年11月24日 18時
