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「ねぇ、伊之助」
「ん？」
恋仲となってからしばらく経ったある日、お風呂上がりの髪の毛を拭きながら、Aの呼びかけに伊之助はAに顔を向ける。
「…あのさ、」
そう言ったきり、唇をぱくぱくと動かして何か言いたげに伊之助を見るAに、伊之助は不思議そうな表情で首をかしげる。
「あ、あの…。目を、閉じてもらえないかな」
「目？」
「うん、目…」
Aの言葉にきょとんとした表情で瞬きを繰り返した伊之助は、驚いたように目を見開いて、「俺の寝首をかくつもりだな！？」と身構える。
「へっ、いや、あの…」
慌てたようにあちこちに視線を彷徨わせたAは、「そんなつもりなんて…」と言ったあと、「そもそも私、伊之助の首なんて一度も狙ったことない！」と我に返ったように叫ぶ。
「じゃあ何だ！？理由を言え！」
「り、理由って…」
顔を真っ赤にして黙りこむAに、ようやく何かきちんとした意味があるのだと理解した伊之助は、警戒するようにきょろきょろと周りを見回したあと、「ほら閉じたぞ！」と目蓋を閉じる。
「！」
突然目を閉じてくれた伊之助に慌ててAが伊之助に近付くと、近付いてきたAの気配に気付いたのか、伊之助がぱちりと目を開ける。
「ま、待って、まだ閉じてて！」
一瞬怪訝そうな表情を浮かべた伊之助だったがまたすぐに目蓋を閉じて、「まだか？」と何度もAを催促する。
「ちょっと黙ってて、」
Aはそう言って、素直に黙り込んでくれた伊之助の唇に、一瞬だけ、己のものを触れさせる。
「！なんだ！今何したっ？」
「…何もしてない」
すぐにAが離れたおかげか、何をされたのか分かっていないらしい伊之助は、異様に赤いAの頬に触れて「どこが触れたんだ？柔らかかったぞ！」と確認するように頬を何度も撫でる。
「ふふ、…内緒」
「何でだ！」
結局自分の唇に何が触れたのか突き止めるのは諦めた伊之助は、その柔らかい感触が気に入ったらしく、「もう一回しろ！」とそのまま寝るまでの間何度もAに迫ったのだった。
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チーズ(プロフ) - 唄子さん» コメントありがとうございます！そしてお返事遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m嬉しいお言葉をありがとうございます！！ (2023年4月10日 3時) (
レス) id: 3890fde5bc (このIDを非表示/違反報告)
唄子 - 胸がキュンキュンです (2022年8月10日 21時) (レス) @page37 id: 585502c22b (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ナギサさん» コメントありがとうございます！伊之助の良さが表現できていたようで嬉しいです！ご期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いします(^^) (2020年12月9日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - 伊之助のこの男らしさと可愛さが混ざった表現を…ごちそうさまです。続き楽しみに待ってます (2020年12月9日 6時) (レス) id: 4d18708d8c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - しがれっとさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます〜！！お兄様いいですよね！歳の離れた妹を溺愛しつつ、厳しいところは厳しい、しっかりしたお兄様でございます（＾ω＾） (2020年12月7日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ
| 作成日時：2020年11月24日 18時
