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「ん、…いつもより焼き魚が美味しいね」
「!伊之助が、火加減を教えてくれたの!」
「…伊之助?」
「い、伊之助さん!」
兄に褒めてもらえたことが嬉しくてつい、いつも通り伊之助と呼んでしまい、兄の顔色が変わったのを見てAは慌てて訂正を入れる。
「…。二人は、恋仲なのかな?」
「ち、違うよ!…見れば分かるでしょ、私じゃつり合ってないよ…」
「何言ってるんだ。Aはとても可愛いよ」
不用意に喋るなと言われている伊之助が兄の言葉に同意するように何度もうなづくと、「ほら、伊之助さんもうなづいてくれているよ」と兄は嬉しそうに笑う。
「い、伊之助…!さん!」
「?…Aはかわいいぞ。側にいるだけでかわいい」
「絶対、意味間違ってるでしょ…!」
「間違ってねぇな」
Aたちのやり取りを驚いた様子で聞いていた兄は、「伊之助さんは、分かっているねぇ」と表情を緩める。
「もしかして、伊之助さんはAが好きなのかな?」
「もちろん好きだ!Aには不快なところがねぇ!つまり、全部好きだ!」
「そうかそうか。それは素晴らしいね」
極力喋らないという約束をすっかり忘れている様子の伊之助のことより、一見すると伊之助がそういう意味でAのことが好きなのだと思えてしまう言葉たちに、Aは赤くなる頬を抑えられず勢いよく下を向く。
「…ということは、伊之助さんはAをお嫁にもらうつもりがあるということかな?」
「…お嫁?」
「はは、まだ早いかな?…うーん、端的に言えば、一生を添い遂げるという契りを交わすことだよ」
お嫁は分からなくても、一生を添い遂げるの意味は分かったらしい伊之助は、「ああ、番のことだな!?」と確認するようにAに目を向ける。
「つが…、…うん。まぁ、意味は合ってるよ」
「それならまず、Aが俺の求愛を受け入れないとだな!」
「きゅっ、…そんなのされてないよ!」
「ああ、俺もしてねぇ!」
噛み合っているようでいないAたちの会話に、兄がたまらず笑い声をあげて「伊之助さんは面白い方だね」と肩を震わせる。
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チーズ(プロフ) - 唄子さん» コメントありがとうございます!そしてお返事遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m嬉しいお言葉をありがとうございます!! (2023年4月10日 3時) (レス) id: 3890fde5bc (このIDを非表示/違反報告)
唄子 - 胸がキュンキュンです (2022年8月10日 21時) (レス) @page37 id: 585502c22b (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ナギサさん» コメントありがとうございます!伊之助の良さが表現できていたようで嬉しいです!ご期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いします(^^) (2020年12月9日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - 伊之助のこの男らしさと可愛さが混ざった表現を…ごちそうさまです。続き楽しみに待ってます (2020年12月9日 6時) (レス) id: 4d18708d8c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - しがれっとさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます〜!!お兄様いいですよね!歳の離れた妹を溺愛しつつ、厳しいところは厳しい、しっかりしたお兄様でございます(^ω^) (2020年12月7日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2020年11月24日 18時