美少年 【嘴平伊之助】

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その後、恥ずかしすぎて無言なAをよそに、「今日は魚が沢山獲れたんだぜ！」と伊之助は新鮮な魚を、Aの目の前で焼いてご馳走してくれる。


「美味しい〜！」
「この時期は、こいつが脂がのって美味いんだ！」
「家でもこの時期よく食べるけど、こんなに美味しくないよ！」
「飯は火加減が大事だからな！」


言いながらどんどん食べ進めていく伊之助に、「そっか、火加減か〜」と呟いて、Aはパチパチと音を立てながら燃える炎に目を向ける。


「…伊之助はすごいねぇ」
「すごい？…そうだ、俺はすごいんだぞ！」


Aに褒められて心なしか嬉しそうな表情をみせた伊之助は、「うん、すごいすごい」とうなづくAに、「分かったぞ！」と勢いよく立ち上がる。


「お前と居ると、いつもホワホワしやがる！…これが、じいちゃんの言ってたかわいい、だろう！」
「…え？」
「お前はいつも、俺がホワホワする顔をするし、さっきの言葉も、すごいホワホワした！」


これがかわいいか！と輝く瞳で言った伊之助は、「なぁ、そうだろ？そうなんだろ？」とAに詰め寄る。


「…うーん。でもそんなに頻繁に、私のこと可愛いとか思うかなぁ」
「思うぞ！お前の顔は特に、色んな形に変わってかわいいと思う！」
「…形、」


素直に喜んでいいのか分からないものの、いつ見てもため息が出るほど綺麗な顔をしている伊之助に可愛いと連呼され、Aは嬉しくならないはずがなかった。

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