共依存 【時透無一郎】

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いい子にしててね、と部屋を出て行って結局数日帰って来なかった無一郎は、むせ返るような甘い匂いをさせながら不機嫌そうな表情で部屋に戻ってきた。


「…ただいま」
「お、おかえり…。怪我したの？」
「ああ…、少しね」


Aの前でお構いなく隊服を脱ぎ捨てた無一郎は、隊服から畳に染みる自分の血に不快そうに眉を寄せる。


「っ、傷、深いね…」


怪我したばかりなのか、傷口から溢れた血は無一郎の身体に線を作って床にこぼれ落ちていく。


「ああ…、もったいない」


数日何も口にしていないAには、それはただの美味しそうな食料にしか見えなくて、最初は心配が勝っていたものの、だんだんと飢えと乾きが強くなる。


「…ほしいの？」
「！いいの？」


嬉しそうな表情で無一郎に目を向けたAに、人の良さそうな笑みを返した無一郎は「もちろん」と言ってAに傷口を差し出す。


「ん、…美味しい…」


いつもの唾液と混ざった血とは違って純粋な血液な上に、数日ぶりの食事とあって極上の味に感じるAは、ただ舐めとるだけでは足りなくて傷口を舌でなぞって直接血を吸い上げる。


「ちょっとA、」


流石に痛いのか、引き剥がそうとしてくる無一郎に無言の抵抗をして血を吸い続けたAは、結局無一郎に無理やり引き剥がされ鋭い瞳を向けられる。

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