検索窓
今日:47 hit、昨日:174 hit、合計:162,728 hit

16 ページ16





「お腹減った…」


無一郎が居なくなって何日経ったのか、いよいよ我慢できないほどの渇きを感じ始めたAは、無一郎に連れられてきてから初めて、屋敷の外へと出る。


「久しぶりの外だぁ。…みんな美味しそうだなー」


すれ違う人たちから感じる甘い香りにそんなことを呟いて、Aは自分が本当に人間ではなくなってしまったのだと今更ながら実感してしまう。


「でもやっぱり、無一郎が一番いい匂い」


そこまで考えて、無一郎の匂いがする屋敷から出てきてしまったことを、Aは早くも後悔し始める。


「うー、やっぱり戻ろうかな…」


そう言って踵を返そうとして、微かに無一郎の匂いを感じた気がしたAは、恐る恐る暗がりへと足を踏み入れる。


「無一郎…?」


匂いの元に近付いてみると、やはり感じるのは今一番待ち焦がれている無一郎の匂いで、Aは一生懸命無一郎の匂いを辿って歩みを進める。


「!」


無一郎の匂いが濃くなったと思った瞬間、お腹に熱いものと衝撃を感じてAはゆっくりと自分のお腹に視線を向ける。


「…逃げ出してきたの?」


囁くように言われたその言葉と共に後ろから誰かに抱きしめられて、Aはお腹から突き出る細長いものが何か分からず、「無一郎、」と自分を抱きしめている人物の名前を呟く。


「悪い子だなぁ…せっかく、優しくしてあげてたのに」


ずるりとお腹から何かを引き抜かれて、Aはそのまま自分で自分を支えられずに地面に倒れ込む。


「…無一郎っ、」
「悪い子にはお仕置きしなきゃね?」


そう言って笑う、月の光に照らされた無一郎の微笑みは、その場に似つかわしくないほどただただ美しかった。

17→←15



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (226 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
457人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チーズ(プロフ) - alice roseさん» コメントありがとうございます!そして嬉しいお言葉までありがとうございます!!これからも沢山ニヤニヤしていただけるように頑張ります!(笑)よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
alice rose - 控えめに言って最高です!いつもニヤニヤしながら読んでいます、これからも無理せず頑張って下さい!応援しています(≧∀≦) (2020年11月3日 21時) (レス) id: a666e6cc6f (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - まいまいさん» コメントありがとうございます!最高すぎるだなんて、嬉しいです!ちょうど更新しましたー!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2020年11月3日 19時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい - 最高すぎます!!更新まってます! (2020年11月3日 19時) (レス) id: 194af2ccd7 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ????なしさん» コメントありがとうございます!神!?なんと有難いお言葉、、!!頑張って書きますので、これからもよろしくお願いしますm(__)m (2020年11月2日 20時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月20日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。