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Aの気持ちの落ち込みとは裏腹にすくすくと育つお腹の中の赤子は、異様にAのお腹を押し上げ、出産まで二ヶ月となるころには、苦しくて動けなくなるほどだった。

「この異様な腹の大きさ…、双子かもしれん」
「双子、ですか?」

神妙な表情でそう言った産婆にAはそう問い返して、そのあとの産婆の説明で、その神妙な表情の意味を知ることになる。

「双子の出産は、母子共に危険になることが多い。この婆も、双子を母子共に無事で取り上げたことがあるのは、片手で数えられるほどじゃ」
「片手で数えられるほど…、」

そんな産婆やAの不安を憂いてくれるほど、出産は生優しいものじゃなかった。

「っ、ごめんなさい…こんな話をしている時に…お腹が痛く…」
「焦るな、息をしっかり吸え。この婆がついておる」

Aを安心させるように腰をさすりながら、的確な指示で周りの者に必要なものを用意させ、すぐにいつでも赤子を取り上げられるような体制が整えられる。

「いっ…、痛い痛い痛い!」
「息を吸え!苦しいのはお前だけじゃないぞ!」

厳しくも優しい産婆の声に励まされ、Aが陣痛に耐え続けること数時間。
一人目に生まれたのは黒髪に真紅の瞳の、月彦によく似た男の子。

「おお…!やはり双子じゃ!まだ腹にいる!あとひと踏ん張りじゃぞ!」
「はい…!」
「出血が多い!次のいきみで一気に出すぞ!」

そう言って言葉通り、産婆は次のいきみで苦しいほどにAのお腹を押し、無事に産まれたのは一人目と瓜二つの女の子。

「ああ、良かった…」

無事に終わったのだとAが身体から力を抜くと、「いや、待て!」と産婆の驚いたような声。

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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時

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