夢 【煉獄杏寿郎】

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「…ごめんね」
「え？」


全員に配膳を済ませて、Aとしのぶたち四人で遅めの昼食をとっていると、突然そう言ったアオイは眉を下げてAを見つめた。


「あの、黄色い頭の人。いくらAが可愛いからって、突然結婚してだなんて…何よりうるさいし！」
「…ああ…、」


あまりに辛辣な物言いから、アオイは善逸に心底嫌気がさしているのだろうと推察したAは、曖昧な笑みを浮かべて食事を口に運ぶ。


「…そんなことより、煉獄さんと！…結婚まで早かったよね、何があったの？」
「！」


この話題に興味があるのか、アオイやしのぶだけでなく千寿郎にまで視線を向けられて、Aは恥ずかしそうに顔を俯かせる。


「わ、私もよく分からないんだけど…、私を娶ろうと思うって、突然杏寿郎さんに言われて」
「ええっ！それって、煉獄さんもAのことが好きだったってこと？」
「多分、恋愛的な意味とは違うと思うんだけど…でも、愛してるし、一生添い遂げる、守ってやりたいって…」
「ええーっ！素敵〜っ！」


千寿郎くんも聞いているのにどうしよう、とAが恥ずかしそうに千寿郎を見ると、嬉しそうに微笑んでいる千寿郎と目が合って、Aは千寿郎が本当に心の底から自分たちの結婚を喜んでくれているのだと実感して、暖かい気持ちになる。


「…Aさんが幸せそうで良かったです」


そう言ったしのぶがアオイに目を向けると、笑顔でうなづいたアオイが部屋の片隅に置かれていた重そうな木箱を持ってきてAの前に置く。


「私たちからのお祝いの品です。とても美味しい秘蔵酒だとか」
「催淫効果もあるんだって。…煉獄さんが非番の前の日にどうぞ」
「なっ、」


アオイの言葉に驚いたように頬を染めたのはAだけではなくて、同じ反応をしたAと千寿郎は、慌てて顔を見合わせあってすぐに視線を逸らす。


「煉獄家は炎柱を担う大事な家系ですから、子供は早い方が良いでしょう」
「Aに似たら可愛いだろうなぁ。月のものが来なくなったら、すぐに蝶屋敷へ診せに来てね！」


赤裸々すぎるしのぶとアオイの言葉に、顔を俯かせて如何にも高そうなお酒を見つめたAは、それと同時にこれを杏寿郎に飲ませる時のことを想像してしまい、だんだん顔だけでなく身体まで熱くなってくる。


「こっ、子供なんて…！」


そうは言いつつもしっかりお酒は受け取るAに、しのぶもアオイも穏やかな笑みを浮かべてAを見つめるのだった。

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