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決して泣き声を出しているわけではない。
目が赤いわけでも、鼻水を啜っているわけでもない。
ただ、今にも吸い込まれそうな淡い青の瞳から一筋の涙が流れているだけだった。
本当は涙なんて流れていないのではないか、雨でも降っているのではないかと錯覚してしまうほど。
「……A」
「……！ウィリアムさん。あっあれ、もうこんな時間に！？」
読んでいた本を閉じて、時計を見て慌てている彼女。
涙が出ているとは気づいていない様子。
ウィリアムはフッと笑うと彼女のそばへ寄り、男性にしては少し細い親指で彼女の涙を拭った。
「本を読んで時間を忘れるのはいつものことだけど、これは初めてだったから驚いたよ」
「……私、泣いてました？」
きょとん、と効果音がつくような表情を浮かべ首を傾けたA。
いつもと変わらないその表情にウィリアムは少し安心した。
「泣くような本を読んでいたのかい？」
「……そうかも、しれないです」
彼女が持っている本のタイトルには、「エルフ」とだけ書かれていた。
エルフというのは、今で言う恵外界に住んでいた生まれつき魔力が非常に高い一族である。
でも今はもういない。
エルフ族は、数に勝る人間達によって数百年前に滅ぼされたとこの本の結末に書かれていた。
「……どこか、懐かしい感じがしたんです。
「………」
寂しそうな笑顔をする彼女に、ウィリアムはそっとAの頬に手を当てて、軽くその目元に口づけを落とした。
その行動にAの息と心臓が止まった。
「その表情の君も綺麗だけど、あまり見たくはなくてね」
「………ひ、引っ込みましたあああああああ！！！」
「…そのようだね」
クスクスと笑うウィリアムをよそに顔が赤い粘土より真っ赤になったAは開いたドアへ一目散に走って逃げて行った。
1人残されたウィリアムは、彼女が使っていた机の上を見て呟いた。
「……本はちゃんと戻すんだね」
逃げた彼女はどさくさに紛れて風魔法を器用に使い持っていた2冊の本を本棚にしまっていた。
「ら、ら ランギルスくん((ゴン い"っだぁ！！」
「頭大丈夫？」
「それはどっちの意味ですか？？」
「どっちも」
「…あ！お腹空きました」
「頭大丈夫？？？」
その後もランギルスがユノ達が初任務で星を貰ったとかの話をしたが、本人は抜け殻になったまま黙々とご飯を食べていた。
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HANON(プロフ) - Ame931さん» ほんとそれですね！コメントありがとうございます (2022年6月19日 12時) (
レス) @page36 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
Ame931(プロフ) - ゴーシュが恋愛やってるように見えないのめっちゃ分かるわ〜 (2022年6月19日 9時) (レス) @page36 id: 745f3a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
春川みやび(プロフ) - ありがとうございます（ ; ; ）後回しで構いません！無理しないでください、、！応援しています！^ ^ (2019年2月16日 13時) (レス) id: 1c145295b7 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - 春川みやびさん» リクエストの方なんですが、今書いてもご期待に添えられるようなお話にはならないと思うので、続編に入って最初の方は本編を書かせていただきます。本編が一区切りついたら番外編を書こうと思うのでもうしばらく待って頂けると幸いです。大変申し訳ありません。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 10bafabdf4 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - ありがとうございますo(^o^)o自分でリクエストしながら、すっかり忘れてました、、、、。(笑)m(__)m (2019年1月22日 19時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2018年10月8日 16時
