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エレベーターを降りて自分の部屋の前に立つ。自分の部屋なのに何故だか緊張する。ドアノブに手を掛けると、カチャ、と音を立ててドアが開いた。
リビングへと続く扉の磨りガラスから漏れる光はなかった。………いないのかな?いないならそれはそれで良いんだけど…とリビングのドアを開けるとテレビが点けっ放しだった。あれ、朝テレビ点けてないよな……
「……まだ寝てる…」
ソファーには彼がまだ眠ったまま。テーブルに目を移すと飲みかけのミルクが入ったマグカップ。…ミルク飲んでテレビ見て寝てたの……?……自由すぎない?と思っていると小さく声を漏らしながら彼の体がもぞもぞと体が動く。
「あ……おかえり〜」
「…………ただいま…?」
ゆっくり起き上がってとろんとした目で言う。手をグーにして目を擦ったり、……………なんか…クロっぽい……と思ってしまう。
「……ご飯…食べる?」
「食べる〜!もうお腹ペコペコ〜」
何普通に「ご飯食べる?」とか聞いてるんだろう。でも彼に関しては最初に何をすべきか優先順位がわからない。ていうか、何食べるの?私と同じ物でいいの?
冷蔵庫を開けたまま考えていると突然お腹に巻き付いた腕に、右肩に乗せられた顎。
「ちょ、」
「僕Aのご飯ずっと食べてみたかったんだ〜」
「離れて」
「なんで?」
「なんでって、」
朝から思うけど彼はやたら近いと思う。それが猫であった頃の名残なのか、そういえばクロはいつも私に寄り添ってくっついてきていたけど。顔を動かせば唇が触れそうな距離。猫の時と今じゃ同じ様にはいかないでしょう……
「ご飯作るから、良い子にして待ってて」
子供に言うようなセリフ。彼は少しむくれたけど頷いて、何やらフンフン歌いながらテレビを見て大人しくしていた。
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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時