Only you . (ページ20)

今日:2 hit、昨日:39 hit、合計:46,947 hit

20 ページ20

.

その言葉の意味を考えて。

じわじわと浮かんでくるのは、負の感情。……何よ、海だって。

「……ちょっと待ってよ。それって海が言える事なの？」

フラッシュバックする、あの日の事。

聞いたことない海のあんな声。他の人を愛した証拠。

「男の人といたのは偶然会って食事しただけ。やましい事なんて何もない」

「……じゃあこいつは？」

「………色々、あって」

「色々って何？」

海が。

海が浮気したあの日。

私は泣きながら寝て、そしたら彼がいたんだよ。

確かにびっくりしたけど、もしユーキがいなかったら私は今よりもっと落ち込んで暗くなってたかもしれない。

普通でいられたのは、＂非日常＂をくれた彼のおかげなんだ。

「説明して」

「………海だって、先に言う事あるんじゃないの？」

「…逃げたじゃん、Aは。俺はちゃんと歩み寄ったよ。俺からは逃げたくせにこんなのってどうなの？」

「………」

私の腕を掴む海の手に力が入る。怖い、素直にそう思った。こんなの、私の知ってる海じゃない。

海はもっと優しくて、落ち着いてて、こんな風に取り乱さなくて。次第に私の心の中はぐちゃぐちゃになってきて、泣きたくなって。

「…………触るな」

その少し低い声に驚いて。

落ちそうになった涙が、少し引っ込んだ。

ユーキは私の腕から海の手を引き離すと、私達の間に割って入って私を守るように海と向き合った。

.