検索窓
今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:47,096 hit

15 ページ15

.






「この辺なの?会社」

「二駅隣…」

「ふーん……タバコ吸っていい?」

「あ…いいよ…」







ビールを頼んで料理を待ってる間、当たり障りのない会話で間を繋ぐ。


…タバコ、私と付き合ってた時は吸ってなかったよな。タバコを咥えて壁のメニューを眺める横顔をぼーっと見つめる。……やっぱり拓弥ってかっこいいんだな…









「何?」

「…や、別に」

「……Aってさあ彼氏いんの?」

「…急だね……」








この現状、付き合ってると言っていいのだろうか。別れ話はまだしてないから一応付き合ってる…?答えに渋っているとタイミング良く料理が運ばれてきて2人で箸を伸ばした。









「……拓弥は?いるの?」

「いないけど」







…この顔ならモテない訳ないけどいないんだ。拓弥って他の子にもああだったんだろうか。……ていうか拓弥って私のどこが好きだったの?何でもくれるところ?……それ私ただの財布じゃない?いや、実質財布みたいなもんだったけど。拓弥は私以外の子と付き合った時どんな風に接してたのだろう。別れて2、3年で今更こんな疑問ばかり浮かんでくる。









「何怖い顔してんの?」

「……拓弥って、彼女に浮気された事ある?」

「…ないけど。何?浮気されたの?」







頬杖をついてこっちを見て笑う。元財布が浮気されている事を心の中で嘲笑っているのだろうか。


…もう会わないだろうし、別にどう思われてもいいや。








「…Aってさーすげー優しいよね」

「え?」

「なんでも俺にくれたじゃん」

「……だって欲しいって言ったじゃん」

「でも俺Aには何もあげた事ないんだよ?」

「…………」






だって、それは。


拓弥が笑ってくれるならそれでいいかなって、そう思ってたから。それに拓弥は、そういうの……







「最初っから俺はどうせ何もくれない人って思ってたんじゃないの?」

「………」

「俺もね、もしAに求められてたら何かしらしてたよ?…そういうとこじゃないの?Aはもっと自分の気持ちとか我儘言えばいいんじゃない」






そんな事、今更言われたって。


今までの行動を全否定されたような感じがして。私と拓弥がヒモと貢ぐ女みたいな関係になっていたのも、海が浮気したのも、私が原因?海は結局、私じゃ満足しなかったって事。





残りのビールを一気に流し込むと拓弥はふう、と息を吐いた。煙草の白い煙がゆらゆらと消えていく。






.

16→←14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (104 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
359人がお気に入り
設定タグ:超特急 , ユーキ , 村田祐基
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。