Only you . (ページ14)

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「小川さんこれA商社の佐々木さんまで届けてくれない？もうすぐ時間だし届けたら直帰していいから」

「あ、わかりました！行ってきます」

電車でA商社へ向かい、書類も無事渡し難なくクリア。いつもより全然早く帰れるじゃん…ラッキー！と思いながら元来た道を戻ろうと振り返ると人とぶつかった。

「あ、すみません！」

「ああいや大丈夫です……」

「……え、」

「………あれ？もしかしてA？」

『欲しい○○があるんだけど』が口癖だった彼。整いすぎてて、羨ましいくらい可愛らしい顔をしている彼。その笑顔のために、私はどれだけの物を与えてしまったのだろう。

「拓弥…」

前よりも暗くなった髪。相変わらず抜群のスタイルでお洒落なスーツを着こなして、まさに「いい男」。

拓弥は私の顔をまじまじと見るとふ、と笑った。

「相変わらず幸薄そうな顔してんな～」

「！？な……」

「ところで何してんの？」

「……書類届けて…もう帰るところ」

「ふーん……俺ももう帰れるから飯行こうぜ」

２、３年ぶりに元カノと再会したと言うのにこんなに軽い感じでいきなりご飯？？男の人ってそんなもんなの？ていうか拓弥って、こんな感じだったっけ？私の知ってる拓弥は…いつもかったるそうにしてて…

「何してんの？さっさと行くぞ」

さりげなく私の荷物を持ってくれるような事、する人じゃなかった。

「居酒屋でいい？」

「あ、うん…」

ユーキがご飯待ってるかもしれないけど…早めに切り上げれば大丈夫か。最悪、何か買って帰るしかない。なんて考えながら、さっさと行ってしまっている拓弥の背中を急いで追いかけた。

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