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「あれ?」






いつも付けている腕時計がない。きっとこの前海の家に行った時忘れたんだと思う。帰りにでも寄って取りに行こう。




連絡入れてなかったけど、忘れ物取りに行くだけだし。と軽い気持ちで。仕事を終えて部屋のドアの前に着いて、合鍵使ってドアを開けて、海を呼ぼうとした時だった。









「明日香……っ、」

「んんっ………海くん、」








思考回路が停止した。最初は理解できなくて。


え?これ………あれだよね?…………浮気現場?





じわじわと汗が滲んで、今すぐ逃げ出したいのに動けない。甘ったるい2人の声が頭にガンガンと響く。次第に脚の力が抜けて、床に座り込んでしまった。カバンを落として派手な音を立てて中身が出た。









「……やばい、………」






震える手で中身をかき集めて。どうしよう。ここから出なきゃ。





とにかく、早くここからいなくなりたい。そう思っているとヒタヒタと聞こえた足音。









「A、」









海の声がした。その瞬間、スッと何かが祓われた感じがして。立ち上がって、すぐに玄関のドアを押した。









「待って、A!」









私を引き留める声。聞きたくなかった。振り返りたくもなかった。エレベーターなんか使わず、アパートの階段を全速力で降りてった。




そこからはよく覚えていない。自分の家までとにかく走って走って。









「っ、はあ……」









自分の家の玄関に倒れ込み、肩で息をする。





喉がカラカラに乾いて、また手の震えが止まらなくなる。靴も脱がず、そのまま玄関のフローリングに横になった。冷たくて固い感触が私の身体を落ち着かせてくれる感じがした。






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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時

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