甘い甘い夜明けの時 ページ29
キヨサイド
まさかのまさかだ。そして、こんな幸せなことがあっていいんだろうかって程に、内心驚いていた。
彼女は今、楽しそうに俺の髪の毛を乾かしている。ふわふわでさらさらですねって満面の笑みを浮かべて話しかけてくるもんだから、思わず撫でちゃった。
｢冷たい風に変えますね｣
キ｢んー涼しい…｣
火照ったからだには丁度いい冷たさ。別に変な意味ではないけど、こうして自分が好きな相手に告白をして恋人としてこの空間にいる時間がとても幸せなんだ。
｢…よし、大丈夫ですよ｣
キ｢今度は俺が乾かしてあげるから｣
｢うん、楽しみにしてますね｣
ふと時計に目をやると、すっかり深夜になっていた。彼女は午後仕事場に行くと言っていたし、今日は早めに寝てもいいかもしれないな。
キ｢寝よっか｣
｢…一緒に？｣
キ｢うん。ダメ？｣
｢ダメなんかじゃないです｣
生憎俺の家のベットはセミダブル。まだシングルでないから良かった。それに、彼女は思ってるよりも華奢だと言うことが分かった。先程抱きしめた時、勢い余って潰してしまうのではないかと思うくらいには…
キ｢おいで。｣
少し薄暗くした寝室に彼女を呼び、ベットに座り手招きする。すると、少し照れたようにとことこと近づいてくるしゃるとちゃん。めちゃくちゃ可愛い。
キ｢ごめんね、少し狭いかも｣
｢ んーん、あの…１つお願いがあって…｣
キ｢？｣
｢その…ぎゅって、してほしいなっ、て…｣
薄暗くても分かる彼女の表情に胸が高鳴る。甘えるのも慣れてないっていうのもあるんだろうけど、ぎこちなさが逆に愛くるしくてたまらない。
キ｢いいよ。腕に頭乗っけて？｣
｢重くないですか？｣
キ｢全然。むしろ幸せ。｣
そう言ったけど、彼女は遠慮してるのか枕の少し下に頭を乗せて、横になった頭と首の隙間に腕を通すように促された。これ、腕枕というよりかはただ腕を通してるだけのように見えるけど…
｢キヨさん｣
キ｢ん？｣
｢私ね、今ものすごく幸せです。心から愛されているってこういう事なのかなぁって思えて…キヨさんの彼女にしてくれて、ありがとうございます。｣
そんなことを優しい声かつ上目遣いで言うもんだから、俺にとっては可愛くて仕方がない。
キ｢俺もすげぇ幸せ。あとさ、今更感あるけどタメでいいよ、むしろタメでお願い。｣
｢ふふっ、じゃあ…キヨくんって呼ぶね｣
俺は幸せに包まれて眠りについた。俺は彼女を守る。そう決めたんだ。彼氏としても、ね。
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作者名：まい | 作成日時：2020年12月12日 19時
