◎ 恋を考える会 ページ3
.
「姫が恋愛漫画読んでるの珍しいね」
「そう？……そう、かも」
「なんで自問自答したの(笑)」
涼太くんはくすくすと笑って、読んでるとこ邪魔してごめんねなんてわたしの頭をぽんぽんしてから別のところに行った。今日も紳士だなぁ舘さま。
ひか恋の撮影が本格的に始まる前に原作を読んでおきたくて、最近は空いた時間に読むようにしている。それが理由の1つなのは変わりないけど、もう1つ理由がある。恋はどういうものなのかを思い出すためだった。……でも、
「わかんないなぁ……」
「なーにがわかんないのっ」
「あ、ふっか……！」
いいところに！わたしが恋愛しようって思えたことを唯一知ってる人だから話しやすいかもしれない。
「ふっか今好きな人いる？」
「ド直球すぎるだろ！いないよ」
「いないんだぁ……好きな人いるのってどんな感じだったかなって」
そういうとふっかはう〜ん…と真剣に悩み始めてくれた。思えば恋の話をするのなんて、ましてや男性とするのは初めてだからなんだか新鮮でちょっと小っ恥ずかしい。
「よく言うのはドキドキする、とかだよな」
「……わたしライブの前とかめっちゃドキドキしてる！」
「それは緊張な」
「ん〜……あ、撮影とかでメンバーと顔近くなったりするとドキドキするよ」
「あー……それはなんか恋とは違うかな……いや難しいな！俺でもわかんねぇわ！」
ふっかでもお手上げ状態だなんて、恋って難しいものだったんだなぁ。
2人してうーん、と頭を悩ませていると近くにいたひーと目が合って不思議そうな顔してわたし達を見てくるから巻き込むことにした。
「ねえねえ、ひーって恋したことある？」
「ん？さすがにあるけど……なんで？」
「じゃあ好きな人がいるのってどんな感じ？」
「気づいたらその人のこと考えてたかな、俺は」
えっ、すごい、即答だ……！ふっかと顔を見合わせてちいさな感動を一瞬だけ共有した。
「これあの人も好きだろうなとか、あの人に会いたいなとか、そういうの」
「ひー……すごいよ……」
「照がボケずに真面目に答えると思わなかった……」
「俺のことなんだと思ってんの？」
気づいたら、わたしは誰のこと考えてるんだろう。一緒にいない時も常にメンバーのみんなが頭の中にいて、それでも特定の誰かだけを思い浮かべて考えたりしたことはないような。
じゃあわたしはまだ誰にも恋してないんだな、って気づいてそれだけでも1歩前進出来た気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1094人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀(プロフ) - 移行おめでとうですコロナと熱中症がすごいので体調に気をつけましょう (8月18日 17時) (
レス) @page50 id: e7f1610a24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽめこ | 作成日時：2023年6月10日 13時
