こんにちは愛する世界2【呪術廻戦】 (ページ34)

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127:パンティー泥棒ページ34

【モーモールルギャバン】

僕達いま何してると思う？

｢っあ〜〜…癒されるぅ｣
｢…お疲れ様｣

ボワンと室内にエコーする声と、水滴の垂れる音。

｢Aは楽しかった？｣
｢…楽しかった。けど｣

充満した湯けむりに、視界いっぱいの肌色。

｢けど。どうかしたの？｣
｢…少し、疲れた｣

赤い瞳を縁取って、顔に張り付く、濡れそぼった黒。

｢それは、僕のせいで？｣
｢…人が…いっぱいで｣

一緒にお風呂入ってる。
しかも2人で湯船に浸かってる。

結局あの後、食べ歩きみたいになっちゃって、晩御飯は要らないよねって感じになった。
そのお陰で買い物も結構ゆっくり出来たし、

｢(この状況も、願ったり叶ったりなんだけどさ)｣

そもそも何でこんな事になってるかって話は君にちゃんと言わなきゃいけない。

｢…Aの置かれた立場。分かってる？｣
｢…んー…何となく｣

張られた乳白色のお湯に視線を向けて、君はさっきから渦を作って遊んでる。
楽しそうだから良いんだけどね。

｢…前より管理が厳しくなったよ｣
｢…どの位？｣

それを聞かれると、僕も加害者側だから説明しづらい。

｢…外出は許可制。また社屋に住む。手枷は僕、硝子、学長が交代で管理。後は…｣

自分で言ってて嫌になってきた。
君は一応は自由だけど、結局は全く自由じゃない。

｢…前と、変わってない。初めて会った時と｣
｢…はは…そうだったね｣

別に楽しいから笑った訳じゃない。
その枷を外すと気合いを入れてた昔の自分と、付けてあるのか管理する側の今の自分。

｢(本当に、すんごい嫌味)｣

あんなに躍起になって君を自由にしようとしたのに、やっと勝利をもぎ取ったと思えば結果はこれ。

｢(細い首筋)｣

さっきの変わってない発言だって君は嫌味のつもりで言って無い。

｢(綺麗な鎖骨)｣

僕達に出会ったあの日から始まって、ずっと上層部の連中は君の事をこんな風に扱うのが当たり前だったってだけ。

｢(潤んだ赤い瞳)｣

そう考えると、元から君の置かれてた立場や環境は闇が深かったんだなって。

｢五条？大丈夫？｣
｢…んー…？｣

何時の間にか真面目な思考に没頭しちゃって、君は僕が真剣な顔をしてるのに驚いたんだろう。
心配そうな顔で僕を見て、僕を呼ぶ。

｢血…出てる。鼻から｣

うちの子は何を言ってるんだろうって思った。
でも次の瞬間、顔から垂れた水滴が湯面に赤い波紋を作った。

｢…うそでしょ？｣
｢本当だよ？｣
｢…うん、それがショックだなって話｣