こんにちは愛する世界2【呪術廻戦】 (ページ19)

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112:FIGHT DUB CLUB ページ19

【ALI】

学生時代にあった夏油の犯行。
そして昨年末の百鬼夜行。

全て片付いた。
この言葉が何を指すのかより、私の中ではっきりとしているのは教え子を1人失ったという事。

こうやって学長室でお前を待って居るのは、迎えに行った五条と家入を信頼して全員が共犯として扱われるのを避ける為。
私の代わりには身の潔白が明らかな伊地知をつけた。

｢(万が一。あの時の様な…)｣

思い返せば堂々巡りのメビウスの帯が出来上がる。
果てにはお前の共犯を否定しながらも肯定する私が現れる。

思考を放棄しようとしても、1度覗いた深淵からは掴みどろの無い魍魎が顔を出す。
しかし、悶々と考えながらも作業は止めない。

｢(いっそこいつに全てをぶつけてしまえば…)｣

その時、机の細かい振動で電話が掛かってきたと分かる。
手を止めて相手を確認すれば、家入だった。

過ぎるのは嫌な予感。
少し躊躇ってから電話に出た。

《｢…先生、A｣》
｢Aか、良かった｣

久々に聞く私の教え子の声。
ほっとする私と、なぜ家入のスマホからと不安になる私。

｢悪いが、逃げも隠れも許さんぞ｣
《｢逃げないから、五条も。だからお願い｣》
｢分かった…私の元へ来い『A』｣
《｢『夜蛾正道』｣》

来いと名前を呼んでやれば瞬く間に私の元へ現れる。
その横に並ぶのは学生時代ぶりに見る。
苦しそうな、感情を顕にした五条。

｢…私は、少し席を外す。話は後だ｣
｢ふははっ！…ありがとう先生｣
｢なに？なに事？｣

それからお前の相変わらずのイタズラ妖精っぷり。
意図的にかは分からないが、偶に人の心に寄り添う様な行動を起こす。

｢(元より其れが理由で共犯疑惑を否定し切れなかった)｣

あの時。
夏油の心理状態に寄り添って、こちらの注意を引き付ける為に囮になったのでは無いかと。

この疑惑を払拭する事は今や容易い。
直接確認する事も出来るが、今はその他の無事を確認すればいい。

1度切った電話を、もう1度。

｢……Aと五条が……2人が、戻って来た｣
《｢…それは良かった｣》
｢……お前たちも、気をつけて。戻って来い｣

彼女の安否を確認して通話を切った。
要件はそれだけだ、私にはそれだけしか言えなかった。

この時を狙ったのか室内から今は聞きたく無い名前

｢夏油がどうした！！｣

慌てて部屋に飛び込むと、五条に鯖折りを決められたお前。
またかと懐かしくもなるが一先ず五条を引き剥がし、技をかける。

｢ふふふ、あばら折り｣
｢正解だ｣