0037:魔王―咆哮― ページ38
【ギャロ】
｢伏黒、釘崎。助けるぞ｣
おばさんの涙を見て腹が決まった。
俺は人を助ける。ビビってどうする。
｢当然｣
｢……｣
釘崎と伏黒と、3人で一緒に人が取り残された建物の前まで来た。
｢"帳"を下ろします。お気をつけて｣
伊地知さんが何かを言ってるなって。
どんよりした空模様から鳴り止まない雨音を聞きながら、後は中へ入るだけの所で立ち止まる。
｢『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』｣
見上げていた空がプラネタリウムみたいに少しずつ、黒い絵の具が垂れてるみたいに黒く染まり始めた。
｢夜になってく！｣
｢"帳"。今回は住宅地が近いからな。外から俺たちを隠す結界だ｣
素直に見えたままの感想を口から出したら、釘崎の呆れた声。
それから伏黒が何も知らん俺に解説してくれて、やっと理解が追いついたわーって感じ。
｢呪いが近づいたらコイツが教えてくれる｣
伏黒がコイツって地面からヌルッと現れて遠吠えするのは、初めて伏黒に会った時にも居たワンコ。
自然と撫でたくなる見た目で、宜しくってつもりでヨスヨスすれば触り心地はグッド。
｢行くぞ｣
伏黒の号令で、体育館の出入口みたいな観音開きの扉を一緒に開ければ、バイオ〇ザードの場面展開的な｢ギィイ｣って重たい音が出た。
｢！！！｣
足を踏み入れた俺たちをの目の前に広がるのは、建物の外観からじゃ想像もつかない風景。
何と言うか、屋内に屋外から見たビルの外観が、エアコンの室外機とかダクトとかがはっきりと在った。
｢？？どうなってんだ！？2階建ての寮の中だよなココ｣
｢おおお落ち着け！メゾネットよ！！｣
状況を飲み込めない俺と釘崎が慌てて声を挙げて、伏黒はフリーズしたんかなって思ったくらい静かだったのに、突然バッと俺らの方に振り返る。
｢扉は！？｣
反射的に後ろに見て、釘崎が指差す先を見ても明らかに違う。
｢ドアがなくなってる！！｣
｢なんで！？今ここから入ってきたわよね！？｣
俺は扉を開いた筈だし、言葉はもう出なくて頷いて同意。
パニクった俺と釘崎が現実逃避に走って歌いながら盆踊り大会を開催する中、伏黒は冷静だった。
｢大丈夫だ、コイツが出入口の匂いを覚えてる｣
｢｢アラマ〜｣｣
賢くて偉いワンコをグッボーイと褒めつつもう一度激し目にヨスヨスと撫でる。
｢やっぱ頼りになるな、伏黒は。オマエのおかげで人が助かるし、俺も助けられる｣
｢……進もう｣
感謝したのに伏黒が微妙な顔をした訳を俺は知らない。
####:呪術高専に提出された資料→←0036:魔王―粛清―
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ゆきみ大福(プロフ) - ボブさん» コメントも評価もありがとうございます。文章力が足りなくてすみません(´；ω；｀)分からない所を教えて下されば！解説作ります！ (2021年7月30日 22時) (
レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - お話少し難しいけど、読んでいて楽しいです！毎日更新楽しみにしながら過ごしています！星の一番右端押しました！！ (2021年7月28日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみ大福(プロフ) - 絶対に出て来るなぁ。笑える。低評価あざーす (2021年4月28日 12時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきみ大福 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/
作成日時：2021年4月27日 23時
