0022:組曲｢義経｣―来世邂逅 ページ23
【陰陽座】
｢〈私だって！
叫ぶ様に言ってやる。
死んでも胸を張って言える。
成し得なかった大義。
生前に理解しては貰えなかった私の本心と、描いた理想郷。
誰にも作れないなら私が、悟が気付かないなら私が、術師の為に、皆の為に、最強だった私が、
｢〈だから私は選んだ！！〉｣
言い切って、聞かせてやった。
私の生き様を。
返事は通話終了を告げる電子音。
ツーっ、ツーっと辺りに反響して、私は帰って来るはずの無い言葉を待つばかり。
気付けば息が上がった、生身ですらない体が上下している。
｢〈…電話。切るなら、言って欲しかった〉｣
君の肩からスマホに向かって身を乗り出して、君はそんな私を引き剥がして、私の視界は君の背中の方へ向いた。
｢先生に言葉は届いてる｣
手が私の真横に見えるから、きっと君は自分の体ごと私を抱き締めている。
君の肩で首が締まって少し苦しいけれど、腕の中が暖かくて、昂った感情は行き場を失った。
｢〈…何を言って〉｣
｢みんな、知りたがってた。何があったのか｣
静かに、私に向かって説法を説くみたいにして話す君。
ゆったりと紡がれる言葉の1つ1つが私の体に響く。
｢〈…硝子にも聞かれたよ〉｣
君の言葉は私を責めている様で責めていない。
責めるなら抱き締めずに、私を地面に叩き落とせば良いはず。
｢俺も｣
ちぐはぐな君の行動は私を受け入れて居るとしか、私にはそうとしか感じられない。
穏やかに
｢〈…言わなかったけれどね〉｣
さっきまでの憤りは何処かに消えて、代わりに大きな後悔の波が押し寄せる。
ブレないと決めたはずで、全て終わった過去を省みても意味は無い。
頭を振って考えを払い除けようと思っても今の体勢だと叶わない。
｢傑や五条は最強…｣
ぽつり。
君が零した言葉に、ここに来て嫌味かと思った私とその言葉の真意を知りたい私。
だから、あえて何も言わない。
｢…条件さえ揃えば、俺も最強に成れる｣
｢〈…うん？〉｣
間を置いて続いた言葉の意味が理解出来ない。
でも君は秘密を明かすと言ったのだから、今は君を信じる。
君は私を受け入れてくれたから、私もそうしたい。
｢意味は…違うけど｣
何かを恐れているのか、君の体が小刻みに震えるのを感じた。
やっぱり、何故か愛おしむべき守るべき存在だと無意識で感じてしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきみ大福(プロフ) - ボブさん» コメントも評価もありがとうございます。文章力が足りなくてすみません(´；ω；｀)分からない所を教えて下されば！解説作ります！ (2021年7月30日 22時) (
レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - お話少し難しいけど、読んでいて楽しいです！毎日更新楽しみにしながら過ごしています！星の一番右端押しました！！ (2021年7月28日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみ大福(プロフ) - 絶対に出て来るなぁ。笑える。低評価あざーす (2021年4月28日 12時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきみ大福 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/
作成日時：2021年4月27日 23時
