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0002:prelude ページ3

【majiko】

「真希はこの後も任務?」

薄暗いままの体育館で、呪具をケースに収めるのは四級術士の禪院真希。
彼女に問いかける。

「いや、今日はもう無ぇよ。戻って寝る」

ならとAが差し出した手を真希が握り返そうとした瞬間、彼のスマホがけたたましく着信音を発す。
ディスプレイに表示された名前は五条悟。

Aは一瞬出るのを躊躇ってから、通話ボタンを押して耳を当てた。

「…なに?」
《「やっだなぁ!冷たい!」》
「…これから恵の回収が」
《「それ、来なくて良いから」》

電話の内容が分からないのか、首を傾げる。

《「僕が連れて戻る」》
「…俺は呪物の回収もあるんだけど」
《「それ。受肉した子と一緒にね」》

五条の言い放った言葉に、より深く角度をつけて首を傾げるが、また後でと通話は一方的に途切れた。

「恵に何かあったのか?」
「…よく分かんない」

電話口の断片的な会話を聞いていた真希は怪訝そうな表情をするが、Aは首を横に振るだけ。

気を取り直してAが差し出した手を真希が握り返せば、あっという間に風景が高専の医務室に変わる。
これはAの結界術の類で、彼の呪力が篭った物に向かって空間移動が出来る力。

「…ただいま」
「お疲れ様です。硝子さん」
「…お疲れ様。おかえり〜」

そこに居た机に向かって事務仕事をする、医師の家入硝子と挨拶だけ交わし、それではと真希は部屋を退室する。
長いポニーテールを揺らして歩く、彼女の後ろ姿は元気そのもの。

「A?…また真希を連れ出したの?」
「…人足らないし。体術を教えてくれるお礼」
「…そういう"建前"ね」

それは先程までの任務の話。
彼の等級なら妥当だが、四級術士の真希をなぜ同伴させるのかという事。

家入は一旦、紙の上をなぞりペンを持つ手を止めると、尋ねられるがまま、無表情で答えるAに含みのある笑顔を向ける。

「…俺は盾。真希は鉾」
「まぁ…相性は悪くないか」

この会話はここまで、作業に戻ろうと顔を逸らした家入を見た彼は、悪戯っぽい笑みを浮かべてポツリと零す。

「…こっちの悪戯の方が喜ぶから」
「もしかして…それが"本音"?」

ペンで指され図星だろうかと問われても、さぁねと肩を竦めてAは答える。
それを見た家入も彼の動作を真似してから、今度こそはと椅子に座り直し、机の方へ顔を向けた。

「外、真っ暗だけど。今日も夜勤?」
「…こっからが本番だし……一応ね」

2人だけの医務室に夜の帳は下りない。

0003:Sophomore Slump Or Comeback Of The Year→←0001:人物紹介



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ゆきみ大福(プロフ) - ボブさん» コメントも評価もありがとうございます。文章力が足りなくてすみません(´;ω;`)分からない所を教えて下されば!解説作ります! (2021年7月30日 22時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - お話少し難しいけど、読んでいて楽しいです!毎日更新楽しみにしながら過ごしています!星の一番右端押しました!! (2021年7月28日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみ大福(プロフ) - 絶対に出て来るなぁ。笑える。低評価あざーす (2021年4月28日 12時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきみ大福 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/  
作成日時:2021年4月27日 23時

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