45:get into my heart ページ46
【ミヤビvsシシド・カフカ】
結局は傘の意味は全く無くて、2人ともずぶ濡れになった
服を着たままでいいと、恭弥くんに先にお風呂に行ってもらい
俺は買い物袋を台所に置きに行ってから、それを追いかけた
「白米、ハンバーグ、付き合わせはピーマン、人参しりしり、茄子と大根のピクルス、豆乳スープ」
「楽しみだよ」
熱いシャワーで滝行すると体が温まってきた
俺に背中を向けた恭弥くんがシャツを脱いでる
綺麗に筋肉ついてるし、羨ましいその後ろ姿を見てたら
視線に気付いたのか恭弥くんが振り返った
目があった瞬間、俺の頭の中でサイレンが響く
恭弥くんはお湯を止めて俺の方に近づいてくる
「(げんこつくる！)」
思って目を瞑って俯くと、右肩に重さを感じる
何が起きているのか確かめたくて、ウインクをする様に片目だけゆっくり開く
目の前に真っ黒な瞳、驚いて両目を見開いた
「…顔近」
恭弥くんは俺の顔を覗き込む様にして、目の前に立っている
また楽しそうな顔してるし、嫌な予感
「また見た」
「…見ました」
これはさすがに言い逃れ出来ない、素直に認めると恭弥くんの顔が離れた
なるほど肩の重さは恭弥くんの腕が載ってるからか
「感想は？」
「…お綺麗です」
あまり興味無さげな返事があったけど、彼はあやしい表情をしてる
俺はこの状況をどう逃げようか悩んでる
「ならそのまま見てていいよ」
「(何言ってんだこの人)」
「僕も見るから」
恭弥くんの右手が俺のシャツのボタンにかかる
咄嗟にその手を掴むけど、力が強くて動かない
「何してるの？」
「抵抗してるの」
「でも見たんでしょ？」
「見ましたね」
それとこれとは話が違うけど、恭弥くんは聞いてくれない
ボタンが1つ外された感じがする
「それとも自分で脱いでくれるの？」
「もう訳がわからないよ」
俺だって男だし恥ずかしくないと気合いを入れて、自分のシャツに手をかけてボタンを外していく
恭弥くんは手を除けてそんな俺を見ている
じっと見てる
「…恭弥さん？」
「なに」
「恥ずかしいんですけど」
「そう」
「(もうだめだこの人、お話にならない)」
諦めてシャツを脱ぎ捨てる
「満足した？」
聞いてみると恭弥くんは満足気な顔をして、俺のお腹のあざに触れてきた
優しく指で肌の上を撫でて、手のひらで包み込まれる
ひんやりして気持ち良いと思っていたら、その手が離れていく
「汐路も綺麗だよ、あとで湿布貼ってあげる」
恭弥くんは満足気に言った
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作者名：ゆきみ大福 | 作成日時：2020年10月20日 17時
