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朝。アンリさんと甚八さんの元へと駆け込む。ふと見慣れない姿がありすぐ喉元まで出かかっていた言葉を一度飲み込んだ。
「あれ、Aさん! こんな朝早くにどうしたんですか」
「おはよーAちゃん。血相変えてどうした?」
「え、いや……あの、そちらの方は……」
仏頂面で私を見る男性と、そんな彼を放ったらかしに私に声を掛けてくる2人に困惑を隠せずいると甚八さんが簡潔に彼を紹介してくれた。
「ああ、彼ね。糸師冴。Aちゃんに分かりやすく言うとサッカーの超強い奴」
「誰だお前」
「口の悪さは弟の方と概ね一緒」
「! 凛のお兄さん……!」
そう言えばと顔をまじまじと見ると、糸師くん_凛とそっくりな目元だ。甚八さんの言う通り口の悪さもそっくりである。
どうやら全員モニター越しに三次選考の様子を見ていたらしく、そこに私が突然転がり込んできた次第であった。モニターには凛や世一が走る姿が映し出されている。
そんないつも通りのブルーロックの様子に、やはり何でもないと踵を返そうとしたがそれを甚八さんに止められる。
「何でもない割には随分焦ってたようだけど。何?」
「そうですよ。Aさんのあんな様子珍しい……あ、まさかまた呪いが……!?」
「いや……それが……」
少し言葉を濁らせながらも甚八さんと、凛のお兄さんの威圧感に負け制服のポケットから一枚の写真を取り出した。
それを彼らに手渡して捜しているんだと述べると甚八さんは気付いたらしくあれ、と声を上げる。
「この間来てた補佐官とかなんとかの」
「補助監督です」
「ああ、先日来てましたね。でも帰ったんじゃ……?」
「それが、連絡がつかなくて……ブルーロックを出てるならいいんですけど、」
ちょっと、嫌な予感がして。
潔高さんに連絡を貰った時私は直感的に、彼女がまだこのブルーロック内にいると思った。直感だから何の確証もないけど。
確かにあの補助監督さんのことは玄関までお見送りもしていないので確実に帰ったという証拠がない。だからその証拠を見つけるためにここに来たのであった。
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タキタカ(プロフ) - 「へぇ。俺そういう映画とか見たことないから知らないや。というかさっきからオシャさん何ぼーっとしてんの?」 「……オシャ!!!」 「何!?!?」 〜「何て……??」ここで声出して笑いました。面白いです! (9月17日 22時) (レス) @page22 id: baee95592f (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - ぐらす。さん» コメントありがとうございます!pixivの方でもお読みいただき光栄です。今後とも是非、よろしくお願いします! (5月24日 9時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
ぐらす。(プロフ) - pixivでもこの作品見てました。やっぱり面白くて好きです。pixivのほうでも無理しない程度に頑張ってください! (5月22日 17時) (レス) id: 6255010be3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことこと | 作成日時:2023年5月15日 18時