【tkrv】梵天と解体屋 (ページ11)

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怒り狂う解体屋 4 ページ11

ざっと見た感じ転がっていた人間は狭い部屋の癖に10人は超えていた。
多分、ビルの外も連中が固めていたんだろうと思う。

だが、Aにここまで力がある事に俺は驚きが隠せない。

三途がもし今日1人で行っていればいくら三途が相手でも、間違いなく人数不利で捕まっていただろう。

「オレ強いでしょ」

「みたいだな。初めて知った。」

俺の言いたいことが分かったのか弱々しく笑うA。

「自分で自分の事制御出来なくなるからあんまり怒らないようにしてるんだけどね。」

またやり過ぎちゃった、と落ち込むA。
この世界にくれば理由も無く理不尽な怒りや罰をくらうことなんて数しれない。

狂っているようで優しすぎるAにはこの世界が似合うようで似合っていないのだと思った。

今回の事だって、遅かれ早かれこうなる事に変わりはない。

今までの事は分からないが今回に限っては、理由のある怒りだったはずなのに、なぜそこまで落ち込んでしまうのか俺には理解できなかった。

「無駄な事で怒る程お前の頭は狂っちゃいない。」

「まぁ…何かしら理由があるから、怒っちゃうんだけどさ…ある一定のゲージを超えると自分が制御出来なくなっちゃって…」

言い訳をするAの言葉に、かぶせるように俺は話を続けた。

「なら気にしすぎるな。今回も遅かれ早かれ裏切り者を処分することになるのにかわりはなかった。

逆に言えばAが今回始末してくれなかったら、梵天の幹部の誰かが殺られてたかもしれねぇ」

俺の言葉と共にクラシックが終わり、静まり返る車内。
Aのおかげで梵天や俺達が守られてきた事は何度もある。

昔になんのトラウマがあったか知らないが、誰よりもここの組織を大切にしているAを俺は知っている。

「A、ありがとうな。梵天を守ってくれて」

信号待ちに視線をAに向けてそう言う。
大きく見開いた目は少し潤んでるようだった。

「……はは。ココは流石だよ。その言葉……今のオレに効いた…」

「ﾌｯ…そりゃ良かった。」

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数年一緒に居てAの知らなかった部分を聞けたことに少し嬉しさを感じたのはここだけの話にしておく。