怒り狂う解体屋 3 ページ10
「また裏切られたよ。またオレは裏切られんだ。
裏切り者の癖に梵天を馬鹿にしやがった。だから殺した。ごめんなさい。万次郎にまた怒られちゃう。
でもアイツらが悪いんだ。オレを裏切るから。梵天を裏切るから。今日の取り引き全部嘘だった。
来たら見たことない奴らが沢山居た。春千代の部下も一の部下もオレを守ろうとして殺られちゃった。
ごめんなさい。命を無駄にしてごめんなさい。でも大丈夫安心して。オレが全部消しといた。オレが裏切り者を全員処分した。ねぇオレ悪い子?オレ…オレ…」
息つく暇もないくらいの言葉に俺と三途は何も言えなくなる。
Aのこんな姿を見たのは初めてだった。
「っ悪くねぇ。お前は悪くねぇよ。
守ってやれなくてごめんな。俺と代わったばっかりに…つらかったなぁ。ボスも怒んねぇから…ほら、帰るぞ。後は俺に任せろ」
無理やり椅子から立ち上がらせると「A頼むわ。俺、これの後始末するからよ」と三途は現場に残った。
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気まづい中、俺はAの腕を引っ張り車に乗せて事務所に帰る。
車が走ってと尚、微動だにしないAを横目にどうしたらいいのか考えた。
「……」
以前Aが勝手に俺の車に落とし込んだクラシックを流してやる事にした。
いつも聴いているから少しは心が落ち着くだろうと安易な考えだったがどうやらそれは正解だったらしい。
「……ごめんね。ココ」
ようやく俺に向けて投げられた言葉は三途に向けた言葉と同様、謝罪だった。
「ココの部下オレのせいで死んじゃった」
「……いい。気にするな。」
「オレ、弱いから。敵の言葉に踊らされて…怒っちゃって。」
ぽつりぽつりと呟くように弱々しい声がクラシックの合間から聞こえてくる。
「曲、ありがとう。オレ、精神的に異常?みたいだから落ち着かないと気持ちの整理できないんだァ」
はじめて聞いたAがクラシックを聞く理由。
横目でAを見れば本当に少し落ち着いたようで表情が普段の様子に戻ってきていた。
ホッと胸を撫で下ろす。
「俺も悪かった。何も気づけなくて。あの連中は長い付き合いだったからまさかこんな事になるなんて思わなかったんだ。」
「大丈夫…寧ろ、春ちゃんじゃなくて良かったって思ってる。オレじゃなかったら割とヤバい量の人間いたし」
確かに、と内心で納得する。
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作者名:消毒液 | 作成日時:2021年11月29日 1時