とある日の出来事 2 ページ21
「だから〜オレらはAを閉じ込めちゃおっかな！って思ってるんだよね〜」
「え！」
「なーんてう、そ！あは！ビックリした〜？」
「は、はい」
妙にリアルで驚きが隠せない。本当にこの人達ならしそうだ。
実際閉じ込められてもA先輩ならあの笑顔で『面白いね〜』って言いそうだし。
「きょ、今日はA先輩どこにいるんですか？」
「さぁ？わかんね。でも早く見つけねぇと…戻って来れなくなる」
戻ってこれなくなる？
「A先輩、方向音痴なんですか？」
「んー？違うけど？？」
「え。違うんですか？じゃあ戻って来れるんじゃ…」
「小エビちゃんはまだわかんねーかー」
「へ？」
フロイド先輩の言ってる事が分からない。
17歳にもなれば方向音痴でない限り戻ってこれるし、僕と違って2年もこの学園に通ってるなら道順は慣れたものだろうに。
フロイド先輩は辺りを見渡しながら「うーん」と唸っている。
「1つ、聞いていいですか？」
「なぁに？」
「以前アズール先輩がA先輩は独りでも生きていけるくらい才能と実力のある子だと言ってたんですけど…それならなぜA先輩にそこまで執着するんですか？」
思い切った質問だと思う。
こんな質問下手すればフロイド先輩の機嫌を損ね大変な事になりそうなのに僕は気になって仕方がない。
A先輩に執着する理由。
フロイド先輩達がそうまでしてA先輩と居たい理由。
「……」
無言になってしまったフロイド先輩の顔を視線だけで見る。数十センチ上にある顔は真顔で目に光がない。
怖い。
心臓の早まる音だけが耳に聞こえた。
「…あ、あのフロイド先輩？」
名前を呼ぶが返事はない。
どうしよう。
僕は先程自分がした行動に後悔をした。
「小エビちゃん」
「はい！！」
やっと口を開いたフロイド先輩は僕と同じ目線に顔を持ってくると瞳孔の開いた目で僕を見た。
「小エビちゃんは面白いねぇ？Aはね？独りなんかじゃ生きていけねーの。オレらが居ないとなーんにも出来ないの。可哀想で可愛いよねぇ。だからね？絞め殺されたくなかったらさぁ……
あんまオレらの仲探らないでくれる？？」
「…ｸﾞｯ」
急にフロイド先輩の手が首に巻き付く。
徐々に強くなる力で息がしにくい。
このままでは本当に絞め殺されてしまう！
誰か、助けて！！
『フロイド〜！！』
酸素が回らず朦朧とする意識の中A先輩の声が聞こえる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：消毒液 | 作成日時：2020年7月12日 5時
