とある日の出来事 ページ20
【 監督生side 】
─ Aは甘えた事等ありません。
─ 僕達が居なくてもきっとAは立派に“独り”で生きていけるでしょうね。それくらい実力も才能もある子です。
中庭のベンチで休憩中以前、アズール先輩に言われた言葉を思い出す。
A先輩は自由奔放で子供っぽいが僕の見る限りでは成績は優秀。魔法においても先生達のお墨付き。
でも気分屋なのか良い日と悪い日の差は凄かった。
フロイド先輩によく似てる。
人魚って言うのは皆そんなもんなんだろうか?
僕の世界では人魚なんておとぎ話の中でしか出てこなかったし…。
「あ〜!小エビちゃんだ」
「わぁ!フロイド先輩!急に後ろから出てこないでくださいよ」
「何してんのー?今日はアザラシちゃん居ないんだね」
「はい。グリムはエース達と居残りさせられてます」
「ふーん。」
聞いてきたのに興味無い様子だ。
それよりフロイド先輩だけなんて珍しい。
辺りを見渡してもA先輩は居ない。
「Aなら今日居ねえよ?」
「あ!そ、そうですか」
「なぁに?小エビちゃんは〜Aが気になるの?」
「いや、そういう訳では…」
気になるといえば気になる。
ここで正直に答えてしまえばきっとフロイド先輩に絞められそうだ。
─ Aに関われば面倒事が増えるぞ
レオナ先輩の言葉が脳裏に浮かぶ。
確かにA先輩と関われば必ずオクタヴィネル寮が出てくるので面倒そうだ。
「あは!そんなビビんなくてもオレ今日はなーんにもする気ないよ」
「はぁ。そうですか」
「Aも居ねーしジェイドも部活だし、アズールは他の生徒になんかしてるしー。オレ今日暇なんだよねー」
「A先輩と居ないなんて珍しいですね」
「Aはよく居なくなるよ?オレらといてもフラフラ〜ってクラゲみてえに居なくなんの!」
クラゲ。
確かに真っ白で透明感凄いし…光に当たるとキラキラしてる感じはクラゲみたいだ。
A先輩は人魚ってよりクラゲっぽい?
妙に納得してしまう。
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作者名:消毒液 | 作成日時:2020年7月12日 5時