最前列へXII

諦め　玲香ちゃん　リクエスト ページ5

貴方side

静かな空間に
パタパタと歩く足音が響く

私はなんでここにいるんだろう

玲「A、来たよ」

今日もきたのは姉

来てくれたって、ありがたいって思わなきゃいけないけど

今の私にはそう思えないけど、
それを必死に隠す

玲「調子はどう？」

貴「普通だよ」

玲「そっか、」

お姉ちゃんは乃木坂のキャプテン

あとから入ったにしろ、私は選抜どころか練習にさえ行けれてない

鼻に通った管、繋がれた点滴
私を退院させないかのようだった

貴「お姉ちゃん、私」

玲「今日はね、これ見よう。新しい振りだからね」

貴「うん。」

玲「Aのポジションはここね」

きっとお姉ちゃんは分かってる
それでも言わせてくれない

私は弱いから、きっともう戻れないし、そもそも生きられないかもしれない

チラッと隣を見ると
大丈夫だよって言ってるみたいに笑ってくれた

けどそれが苦しかった

どうして私はここにいるんだろう、そう考えれば考えるほど心が真っ黒になって行った

姉が帰ったあと、もしかしたら踊れるんじゃないかと思い、こっそりとベットを抜け出し、休憩室へ向かった

誰もいなくて、絶好のチャンスだった

まだ動画を見ながらだけど、必死に体を動かす

貴「できた、」

息が上がるものの、なんとか覚えて一曲踊り切ることができた

貴「やった、はぁっはあっ、」

そう思った時だった
顔を上げた瞬間、突然世界が回り出した

倒れないようにって捕まった椅子と一緒に倒れ込んだ

音に気づいた看護師さんが駆けつけてくる

看「Aちゃん？！どうしたの？！」

貴「はあっ。はあっ、、苦しい」

目眩がひどくて目を開けることもできなければ、胸も痛かった

看「大丈夫だからね。もうちょっとだけ頑張ってね」

もうちょっと、何回聞いたんだろう、私はもう頑張れないよ

看護師さんの声を聞きながら意識を手放した

次の日、目を覚ますと看護師さんに怒られた

看「Aちゃん！本当に安静にしてください。気持ちは分かるけど、体を苦しめないの！」

貴「はーい。」

看「ほんとに、危ないんだからね。それにAちゃんの嫌いなお薬も増えちゃうよ」

貴「ええ、、それは嫌だ、」

看「じゃあ、安静にしててください」

酸素マスク、点滴、また繋がれた

昨日踊った時、汗をかいて、確かに苦しかったけど、心臓の音や、踊れた達成感。
久しぶりに生きてる心地がした

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