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「顔、ヒドイから洗った方がいいよ？」
「…え？」
「化粧したまま寝ちゃうと、お肌に悪いんでしょ？」
タバコを咥え、ジュポッとライターで火をつけたあと、フーと煙を斜め上に吐きながら、彼は横目で私の顔をチラリと見た。
その姿がなんだかかっこよく見えちゃって、こんな可愛い顔してるくせに、タバコ吸うなんて意外だなぁ…って変なトコに目がいった。
「あ、タバコ嫌いだった？」
ぼーっとその姿を見ていた自分に気が付いたのは、彼の瞳と交じったとき。
タバコを吸っている姿に、見惚れてしまったようで少し恥ずかしい。
「あ、全然…でも、身体に良くないとは思います」
「だよね、それ俺も思う」
でも吸っちゃうんだよね、と言いながら、彼はまたフーと白い煙を吐いた。
「・・・で、やっぱり失恋なんだ？」
乱れた髪の毛を直して、ベッドの横にあった鞄から鏡を取り出し
どれだけやばい顔してたんだろって変なところで女子力が発揮されたとき。
「そうです、悪いですか？」
彼は手慣れた手つきで灰皿にタバコを押し当てて、火を止めた。
「え？別に(笑)俺には関係ねぇから」
自分が訊いときながら、それはないでしょ。
とは言い返すことが出来ないまま
仄かに紫煙が舞う部屋。
ズキッと突き刺さった冷たい言葉に、私はまた苦い想い出を噛みしめた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2017年12月22日 18時
