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大して飲めないくせに、何であんなに飲んじゃったんだろう。
一杯飲んだだけで酔っちゃうほどお酒に弱いくせに。
失恋の悲しみに、お酒が進んだ。
驚くほどお酒を美味しく感じたのは、ビールを二杯飲んだときまでで。
ズキッと頭に刺激が走ると、それをわざと無視して飲み続けた。
“アイツ”を忘れるために鈍い頭を無視して、ひたすら飲んで忘れようとした。
三杯目以降のビールには、味を感じなかった。
正直、マンションまで辿り着いたことが奇跡で
「・・・あ、目覚めた？」
このフラフラな身体で、乗り換えの電車を間違えることなく帰れたことが不幸中の幸いだったのかもしれない。
「えっ！？」
パッと目が覚めたとき、見えた世界に驚き、夢…？と何故だか感じた私は
目をパチパチさせ、見える景色を変えようとした。
妙に色気のある甘い匂いが、ふわっと鼻を擦ると、“ココ”がいつもの場所でないことを知らせる。
しかも・・・
「すげぇ焦ってるね」
お隣さんが、いた。
右隣に住んでいるあのお隣さんがいた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2017年12月22日 18時
