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「寝てるんですか？」
ホラー映画のエンドロールが流れ、ちょっと前から静かになった隣に目を向けた。
「寝たんですね」
目を閉じ、何も反応がない二宮さんの顔をそっと窺う。
・・・かっこいい、悔しいけど。
あの日間近で見た印象の通り、整ったその顔立ちは、悔しいけどやっぱり綺麗だと思ってしまう。
透き通るほどの陶器肌
綺麗なシュッとした鼻筋
顎にあるホクロが妙に色気を増して見える。
そっと窺うつもりが、ガン見していたことに気付いたのは、エンドロールが終わり、シーンと部屋が静まり返ったときだった。
「私、帰りますね」
私はもう一度隣の二宮さんの顔を見たあと、起こさないようにと、静かにソファから立ち上がった。
「一緒に寝るんでしょ？」
「・・・え」
すやすやと眠っているはずの二宮さんの声が聞こえ、パッと振り返る前に、その手が私の手首をグッと掴んだ。
「さっき約束したじゃん、忘れた？」
「した憶えはないです」
「じゃあしたことにして？」
「・・・できません」
「結構ガンコだね、Aさん」
再びグイッと掴まれた手首に、バランスを崩し、気付くとすっぽりと甘い温もりに包まれていた。
「何にもしないから、いいでしょ？」
ギュウっと私を後ろから抱き締めた二宮さん。
突然抱き締められたことに、ドキリと心臓が大げさに波打つ。
そうやって甘ったるい声で私を捕まえた二宮さんに、どうしてか何にも言えなくなっていた。
何かの呪文がかけられたみたいに。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2017年12月22日 18時
