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「え、ホラー？え、趣味悪」
「だから選んだんです」
「何その嫌がらせ(笑)」
「私、結構ホラー好きなんです」
「俺は苦手なんだけど」
「だから、選んだんですよ」
「意外と性格悪いね？」
一度通った道を、また歩く。
一週間、ずっと一人で歩いていた道を二宮さんと一緒に歩いてる。
それが、なんだか妙に嬉しかった。
寂しさの募った気まぐれだ。
「ねぇ、今日こそ添い寝する？」
「添い寝するって私一言も言ってませんよ？」
「え、そうだっけ？」
「そうです」
「じゃあ俺に抱かれる？」
「それはもっとないです」
「じゃあ添い寝だね、了解(笑)」
この前みたいに、二宮さんのペースに乱される。
アルコールの匂いも一切しないし、酔った顔もしてない。
「月が綺麗ですね」
「急に何言ってるんですか？」
素面でこういうことをサラッと言うから、二宮さんがどういう人なのかまた理解に苦しむ。
「ドキッてするセリフじゃないのコレ？(笑)」
「知りません」
それが心地悪くて、やっぱり苦手…と思ったのは間違いじゃなかった。
これまでただの“隣人”だったのに。
顔しか知らなかったのに。
気まずく目を合わせるだけだったのに。
微妙な関係が崩れて、始まった絶妙な関係。
アンバランスな感情に、いつの間にか満月の光は雲に隠れていた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2017年12月22日 18時
