ビタースウィート・ルーム【Kazunari.N】 (ページ3)

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「大丈夫？」

フワッと温もりに包まれた身体。

身体に回る力強い腕。

腕に触れる少々の熱。

熱を持った甘い香り。

ギュッと固く瞑った目を恐る恐る開けると、視界にぶわっと男の人の顔が広がる。

「きゃああっ！？」

驚くほど至近距離に、あともうちょっとで鼻と鼻が触れるんじゃないかってほどの距離に

私の心臓はドキン！と大きく飛び跳ね、その顔から離れようと身体をジタバタさせた。

「あ、ちょっ！急に動くとあぶねぇから！」

「ご、ごめんなさい！！」

背中に回った腕がより一層強く身体を包むと共に、焦り狂った心を一旦落ち着かせて、抵抗して逸らした顔を正面に戻す。

すると、そこにはどこか見覚えのある顔が、私をジッと見つめていた。

「・・・あ」

「やっぱり失恋なんだ？」

そうでしょ、という得意気な顔で私を捉えたその色素の薄い茶色の目は、何度も見たことのある目で

「お隣さん…だ」

私の右隣の部屋に住む、男の人だった。

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