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久しぶりに頭がズキーン！とする。
そして視界が霞む、ゆらゆらと揺れている。
こんなに自分を見失うほどお酒を飲むはずはないのに。
こんなにバカなほどお酒を浴びるほど飲まないくせに。
・・・なのに、どうして？
アルコールの匂いがするシャツは、より一層私の頭をクラクラとさせた。
どれもこれもアイツのせい。
私のことを好きだったアイツの、意地悪なウソのせい。
優しい顔して、意地悪なウソを平気で言った私の大好きだったアイツのせい。
「・・・はぁ」
居酒屋で一人潰れるほどにビールを飲んだ。周りの目なんかお構いなしに飲み続けた。
哀しい女
・・・こうなったのも、全部アイツのせい。
そう言い聞かせて、私は泣いた。悔しいほど、泣いた。
泣いて、忘れようと必死に大して飲めないお酒を飲んだ。
「くっそぉ…」
電車から降りて、マンションまでの道のり。
いつもはこの道を二人で歩いて帰ったのに、今は私だけ。
――…帰ったら、この前のDVDの続き見よっか？
――…明日はどうする？久しぶりに出かける？
想い出してしまう甘い記憶に、今度は心の中で泣いていた。
『何で泣いてんの？』
マンションのエントランス前で“彼”に出会うまで、私はきっと可哀想な女だった。
最悪な私とサヨナラする
苦い想いから、甘い世界に導いてくれた。
そんな一瞬の出会い。
彼は甘く切ない“偶然”を私にくれた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2017年12月22日 18時
