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side 涼介
A切符買えた?
AからのLINEに、“OK、買えた”と返事をして自動改札に入ると、前方のAが歩き出した。
ふわふわの髪に白い肌、淡い色のチェスターコートのAは、後ろから見ても抱きつきたくなるほど可愛い。
だからおっさんが声をかけたくなる気持ちも、わかるっちゃわかる。
だけど、、、
Aが触れられてるのを見た時は、一瞬で脳みそが沸騰した。
本気で仕事投げ出してもいいからぶん殴ってやろうと思ったかんね。
この、仕事人間の俺がだよ?
…かといって、もちろんそんなことはできないし、第一Aもそんなことしたら怒るだろう。
“どれだけ多くの人が関わってると思ってるの!”
って。
Aは、仕事に関わることに関しては、本当に俺のこと好きなの?って思うくらい、ドライ。
普段はふわふわしてほっとけないのに、そういうとこはすごくしっかりしてる。
それだけ俺より大人なんだろうな、と思うし、そういうところも好きだし、仕事柄助かってもいる、、、
…んだけど。。。
『○番線ホームに○○行きが参ります』
私鉄だからか人はまばらで、並んでるのも目立つので、どこにいたらいいかわからない。
A次の電車に乗るよ〜
アナウンスが流れたタイミングで、AからLINEが来たので、なんとなくAの近くにいてみた。
電車が駅に滑り込んできて、ドアが開くと、学生やパートらしき年代の人が降りていく。
まだラッシュには時間が早いみたいで助かった、と思いながら、それとなくAの後ろについて電車に乗り込む。
まだラッシュ前といえど、ほどほどに車内は混んでいた。
Aが3人がけの席の前に立ったので、俺もその後ろに滑り込んだ。
涼介後ろにいる
そうメッセージを送ると、暗くなった車窓越しにAと目が合った。
その目は丸く見開かれていて、思わず笑みが漏れてしまう。
…ふふ、かーわいい。
さっきみたいな輩が寄り付くのが心配だから、できるだけそばにいたい。
そう思って後ろに乗ったはいいけど…、気付いた。
…これって、俺が不審者になってない?
俺はAの頭越し、車窓に映る自分を見た。
Aの後ろにピタッと張り付いてる全身黒ずくめの男(俺)…。
しかも、一人でほくそ笑んでるとか…
…完全に怪しいヤツじゃね? 笑
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作者名:みあ | 作成日時:2018年7月30日 9時