第二十三夜 ページ24
．
夏木さんはここまでを恐らくただの攻撃としか思っていないようだが、それは大きな間違いだ。
全て下準備に過ぎない。
僕は治癒魔法で首元を治し終えた夏木さんを誘う様に少しずつ、少しずつ距離を置いていく。
頭に血が上っているのかは分からないが、明らかに冷静ではない様子で此方にボルグを走らせる夏木さんはあっという間に僕との距離を詰めてきた。
僕の胸ぐらが夏木さんによって乱暴にひっ掴まれた時だ。僕は小さな雷魔法を目の前で憤りに顔を歪める夏木さんの肩に放つ。
「へっ、こんな小規模なのすぐに治せ……。」
彼はそう言いかけて、口から勢いよく吐血した。
何が何だか全く分かっていないのだろう、夏木さんは吐血した際に咄嗟に口を押さえた自身の掌が赤黒く染まっているのを虚ろなその瞳に映していた。
焦点が合っていないその目に、やはり人として痛む心に僕は眉を寄せる。
勿論顔を逸らしそうにもなったが、それは何だか自分自身のしたことに対して逃げるようでとても無責任な行為に思えたため、目を細めながらも相手を下から見上げる。
やがて、夏木さんは膝をつき、朦朧とした様子で此方に視線を向けては、ぼそりと呟いた。
「……お前が放ったのは、間違いなく……小さな、雷魔法、だった……。」
途切れ途切れのその言葉に、僕は立ち上がって夏木さんを見下ろすと、その通り、と口を開く。
「だけど、その前に君の中に僕のルフを無理矢理流し込んだんだ。小さな雷魔法だって、力を与えられれば何倍にだって膨らむさ。内側で肥大化した雷魔法は君の体を内側から破壊した。」
僕が機械のように淡々とそう言い放つと、俯いた夏木さんは地面にぽたぽたと水溜まりを作っていく。
それが涙なのか、先程の水魔法でずぶ濡れになってしまったための水滴なのかは分からない。
ただ、僕は鉛のように重い空気を背中に背負うように、アラジンたち３人の方へ振り向いた。
．
勝利を素直に喜べないのは当たり前だ。望まぬ戦闘だったのだから。
「……大丈夫かい？名前お兄さん。」
アラジンはどこか曇った表情を隠す様に僕にそう問う。
アリババもモルジアナも同じように曇った表情を取り繕うように、僕に似たような言葉を掛けた。
そんな３人に僕は意を決して、口を開いた。
．
「手を貸して欲しい」
その瞬間、ぴしり、と空気が凍り付いたように思えた。
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サリナ - めっちゃ泣けました！私もこんな風な人になりたかったです(T-T)これからもドンドン書いてください!!応援してます！ (2019年3月8日 9時) (
レス) id: 238800b61c (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - もっちー。さん» ありがとうございました！これからも楽しみにしてます！ (2017年6月29日 0時) (レス) id: c128289cdd (このIDを非表示/違反報告)
もっちー。(プロフ) - いえいえ、解決できて良かったです。これからも何か疑問に思うことなどありましたら、お気軽に。コメント欄にてお待ちしております。これからも、眉目秀麗な彼は五人目のマギをよろしくお願い致します！(*´ω｀*) (2017年6月29日 0時) (レス) id: 518b9adb8c (このIDを非表示/違反報告)
もっちー。(プロフ) - 追記ですが、名前入力は目次の一番下にある欄にて行って頂くといいかと思います。もしかするとですが、上の入力スペースでは反応しないのかもしれませんので、よろしくお願い致します。 (2017年6月29日 0時) (レス) id: 518b9adb8c (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - もっちー。さん» すいません！私の勘違いです！私いつも「お名前」欄に名前を打っていたのですが、「name1」の方も使用できるのだと知りませんでした(´・ω・`)次から気を付けます…。お騒がせいたしました… (2017年6月29日 0時) (レス) id: 04ccbcb93a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もっちー。 | 作成日時：2017年3月19日 20時
