第二十話 ページ21
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僕の言葉に前にいたアリババが振り返る。
「どういうことだよ。」
同じく僕の横にいる二人からも同じような視線を感じた。
「こいつは俺の髪色のことを知っている……いや、理解している筈なんだよ。」
状況にすっかり置いて行かれた三人を気にする様子もなく、夏木さんは言葉を続ける。
「……お前も、そうなんだろ?」
他ならぬ僕だけに向けられたその言葉はまるで鉛のように重く感じられた。
「何を、言ってるんだ。」
「お前はこの世界において、最も高い
目の前の会って間もない人間は平然と僕の腹の中を観察していたようで、その爬虫類のような冷たい瞳に全身の毛穴から鳥肌と共に脂汗が滲み出る。
「……でも、歴史に選ばれるマギはいつの時代も決まって3人。今までの記録において、それ以下もそれ以上も在り得ない筈だった。」
「……何が言いたい?」
「分からないのか?”在り得ない”のさ。」
急に変わった相手の態度と話の内容に僕は訝し気に目を細くする。
意味が、分からない。この男の言っている意味が。
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しかし、次の瞬間僕の視界から夏木さんがぱっと消えてしまった。
何かの例えではなく、本当に消えるようにいなくなったのだ。
さながら、それは透明なシャボン玉のようだ。
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「隙だらけだぜ?女みたいな魔法使いくん。」
何時の間に後ろに回っていた夏木さんに背中を押されて前のめりになった僕は頬に鋭い痛みを感じて、頬に触れる。
赤い、いや、紅い。
どうやらあの一瞬で僕は頬に傷を作られたらしく、僕の首の横に添えられる刃の切っ先には小さな鮮血が塗られていた。
「で、分かったかよ?」
「嗚呼、君の気持ちはよく分かったよ。」
僕は頬を伝う鮮血を涙を拭うように腕で拭うと、目の前で憎たらしく嗤うその顔を思い切り睨んでやった。
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サリナ - めっちゃ泣けました!私もこんな風な人になりたかったです(T-T)これからもドンドン書いてください!!応援してます! (2019年3月8日 9時) (レス) id: 238800b61c (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - もっちー。さん» ありがとうございました!これからも楽しみにしてます! (2017年6月29日 0時) (レス) id: c128289cdd (このIDを非表示/違反報告)
もっちー。(プロフ) - いえいえ、解決できて良かったです。これからも何か疑問に思うことなどありましたら、お気軽に。コメント欄にてお待ちしております。これからも、眉目秀麗な彼は五人目のマギをよろしくお願い致します!(*´ω`*) (2017年6月29日 0時) (レス) id: 518b9adb8c (このIDを非表示/違反報告)
もっちー。(プロフ) - 追記ですが、名前入力は目次の一番下にある欄にて行って頂くといいかと思います。もしかするとですが、上の入力スペースでは反応しないのかもしれませんので、よろしくお願い致します。 (2017年6月29日 0時) (レス) id: 518b9adb8c (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - もっちー。さん» すいません!私の勘違いです!私いつも「お名前」欄に名前を打っていたのですが、「name1」の方も使用できるのだと知りませんでした(´・ω・`)次から気を付けます…。お騒がせいたしました… (2017年6月29日 0時) (レス) id: 04ccbcb93a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もっちー。 | 作成日時:2017年3月19日 20時