第十九夜 ページ20
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お前らなんかじゃ手が届かねぇぐらい。そう言った夏木さんにアリババはあからさまに顔を歪めると、そんなの分かんねぇじぇねぇか、と声を荒げる。
そんなアリババを見て夏木さんは一瞬目を細めれば、呆れたように溜息を吐いて見せた。
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「……呆れた。ほんとなんも知らないんだな、お前ら。」
夏木さんのその言葉に、先程から苛立ちで表情の固いアリババは不快そうに眉間に皺を寄せる。
「長期船のことですか。」
俯いたアリババが地面に向かってそう吐いた。
夏木さんはまた大きな溜息を吐く。
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「それだけじゃないさ。」
とんだ世間知らずだと吐き捨てる様に、目の前の夏木さんは眉間に皺を寄せた。
これは、先程の会話の中に何かこの町での”非常識”に当たる言動があった、ということなのか。
どうやら、よく分からずにそう首を傾げて夏木さんの言葉を聞いているのは僕だけではなかったようで、僕の隣でアリババの背中を見つめている二人もシンクロするように首を傾げていた。
どういう、ことだ……?
何が問題だったのか。
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首を傾げる僕ら四人に夏木さんは一瞥をくれると、突然自分の前髪をかき上げるように掴み上げる。
「この髪色、珍しい色だろ。」
なんだ自慢か、と思ったが、そう振ってくる夏木さんの目は笑っていない。
「その髪が、どうしたっていうんだよ。」
アリババが訝し気にそう言った時、僕の横をルフが風のように通り過ぎて行くのが分かった。
……あ。
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「お前は、今まで俺と同じ髪色の奴を見たことはあるか?」
まるでアリババを無視するかのように、質問を質問で返す夏木さんはかき上げた髪を元に戻すと、僕の方へ歩を進める。
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「お前知ってるんだろ?さっきからずっと黙ってるけど、俺には分かっちゃうんだぜ。」
僕の目の前の夏木さんは得意げに口許に弧を描く。
嗚呼、分かっているよ。
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いや、正確には今分かった、のだけれどね。
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サリナ - めっちゃ泣けました!私もこんな風な人になりたかったです(T-T)これからもドンドン書いてください!!応援してます! (2019年3月8日 9時) (レス) id: 238800b61c (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - もっちー。さん» ありがとうございました!これからも楽しみにしてます! (2017年6月29日 0時) (レス) id: c128289cdd (このIDを非表示/違反報告)
もっちー。(プロフ) - いえいえ、解決できて良かったです。これからも何か疑問に思うことなどありましたら、お気軽に。コメント欄にてお待ちしております。これからも、眉目秀麗な彼は五人目のマギをよろしくお願い致します!(*´ω`*) (2017年6月29日 0時) (レス) id: 518b9adb8c (このIDを非表示/違反報告)
もっちー。(プロフ) - 追記ですが、名前入力は目次の一番下にある欄にて行って頂くといいかと思います。もしかするとですが、上の入力スペースでは反応しないのかもしれませんので、よろしくお願い致します。 (2017年6月29日 0時) (レス) id: 518b9adb8c (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - もっちー。さん» すいません!私の勘違いです!私いつも「お名前」欄に名前を打っていたのですが、「name1」の方も使用できるのだと知りませんでした(´・ω・`)次から気を付けます…。お騒がせいたしました… (2017年6月29日 0時) (レス) id: 04ccbcb93a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もっちー。 | 作成日時:2017年3月19日 20時