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私は、記憶がなかった。目覚めた時から何も知らなかった。知っているのは……両親が無残にも殺され、強い復讐心をもっていること。それと、自分の名前。
それから……
自分はただの人間じゃなくて、宝石に力を宿した化け物ということ。
そんなとき、彼がいた。
「大丈夫かい？君。……迷子なのか。名前は？」
それが
私と《彼》の出会いだった。
「僕かい？僕は……ビリーでいいよ」
『うん。……わかった。ビリーお兄ちゃん』
そういうと、彼は少し照れくさそうに
「お兄ちゃんか……うん、よろしくね。A」
私は微笑んだ。いままで一度も出来なかった、笑顔を。
宝石は、なにもかもができた。未来を見ることも、過去を見ることも、力をもらうことも、誰が何をしているのかを知ることも。全部全部。まるで、神様が宿ったもののように。
けれども私は一度も使わなかった。
そんな時だった。お兄ちゃんが死んだのは。
守れなかったと後悔した。それからというもの私は、復讐心を強く持った。全部の人間ではなく、両親とお兄ちゃんを殺した人間だけを。
『大切な人を守れる力が欲しい。強くなりたい。自分一人で立ち向かえる、強い、強い心を。』
私は宝石に願った。守りたいものを、大切な人を、殺した人たちへ立ち向かえる勇気がほしいと。
私は立ち向かった。誇れるくらいに。けれど私は、心臓を貫かれて死んだ。それは、自分自身に。守れなかった憎き自分を。
『ねえお兄ちゃん。お母さん、お父さん。私は……』
『誇れるようなことをできたかな……自分を……誇れ……る……じぶ……ん……に』
目の前が赤くなる。熱い。痛い。苦しい。それでも、後悔もなにもなく、清々しい気分だった。そのとき、私は意識を手放した。……その時の私は、笑顔だっただろう。不器用で、満面な笑を浮かべて。
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スパイペンギン - とても面白いです！。更新楽しみにしてます！ (8月22日 2時) (
レス) @page12 id: b9eace147f (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - 面白いです。続きを読むのを楽しみにしてます。ビリー好きです！ (2018年9月25日 21時) (レス) id: 4de10ffa38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャンヌオルタサンタリリィ | 作成日時：2018年9月6日 23時
