8 ページ42
.
「…うん。そうしよう!
みんなで合格して、そのあとは2人で一緒に暮らそう!それなら、誰が遊びに来たって大丈夫だよね!」
目一杯の笑顔は、真ん丸に見開かれた彼の瞳に、やっと映してもらうことができた。
「…いいの?」
「もちろん!すごい楽しみ!!
今までより、ずっとずっと勉強頑張れそう!!」
はしゃぐ私を、松村くんが八重歯の覗く蕩けるような笑顔で眺めている。
そんなこんなで散々時間稼ぎした帰り道も終わりが近づき、見慣れた我が家はもう目の前に迫っていた。
「今日はありがとう、松村くん!
楽しかった!!」
「俺も。」
「明日からはまた勉強勉強になるけど、お互い頑張ろうね!!」
バイバイのために軽く手を振ったら、なぜか大きな手にグイッと手首を掴まれてしまった。
「え?」
驚く間もなく、少し屈んだ松村くんがこちらを覗き込んだかと思ったら、そのまま冷たく潤った唇が静かに落とされて来た。
ほんの一瞬、半開きのままの唇に重なった柔らかな感触。
呆気に取られてフリーズする私を、ニヤリと笑った松村くんが悪戯っぽく見下ろしている。
「言ったじゃん。
今日、俺、浮かれてるんだって。」
「………左様でしたか………」
「んじゃ、また予備校で。
アイツらに会っても、ホイホイついて行くなよ。」
「……善処します……」
固まったままの私に声をあげて笑いながら、松村くんがコートの裾を翻して去って行く。
歩きながら、カバンから取り出した手袋をはめているのが見えた。
「……手袋、持ってんじゃん……」
なんだか果てしない敗北感に襲われながらも
「自業自得」を挽回するべく、フラつく足取りのまま、目の前の自宅へヨロヨロと入って行った。
.
2281人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マヨ(プロフ) - あいりさん» こちらこそ、ありがとうございました!じゅったんカッコよく書けていたならよかったです(^^)モテない女がモテる男を書くのは大変でした…( ;´Д`) (2022年2月20日 0時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - マヨさん» ありがとうございます!読ませていただきました!やっぱり樹がかっこよすぎました🥹 (2022年2月19日 17時) (レス) id: 87926ffd93 (このIDを非表示/違反報告)
マヨ(プロフ) - あいりさん» ありがとうございます(^^)パス開けました〜! (2022年2月19日 10時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - 俺の可愛い妹で、俺らの大切なお姫様。にやられました😇パス教えて下さい🙇♀ (2022年2月19日 1時) (レス) id: 87926ffd93 (このIDを非表示/違反報告)
マヨ(プロフ) - 澪さん» お待たせ!!じゅったんとのデート書きました!!パスかけてあるから、読みたくなったら言ってくださーい!! (2022年2月18日 22時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マヨ | 作成日時:2021年12月2日 1時